日本代表、辛勝で得た価値とは? 成熟度の向上に意味なし…敵地で苦戦も最優先は「結果」

日本代表は14日、2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選の第4節でキルギス代表と対戦し、2-0で勝利している。劣悪なピッチコンディションとキルギスの勢いに苦戦を強いられた森保ジャパンだったが、セットプレーからの2発でなんとか勝利することができた。内容はお世辞にも良いとは言えなかったが、結果が出たことは何より大きい。アジア2次予選4連勝による価値も、決して小さくはない。(取材・文:河治良幸【ビシュケク】)

2019年11月15日(Fri)10時25分配信

text by 河治良幸 photo Getty Images
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厳しい環境に耐えてなんとか勝利

森保一
森保監督は試合後の記者会見で「勝ち点3を完全アウェイの中で積み上げて一歩前進できたことは、収穫」と話す【写真:Getty Images】

「内容は別として、勝ち点3を完全アウェイの中で積み上げて一歩前進できたことは、収穫だと思っています」

 アウェイのキルギス戦に2-0で勝利した試合後の記者会見で森保一監督はそう語ったが、まさしく内容より結果という試合だった。ただ、内容もプレーの正確性や安定感、クオリティではなく、厳しい環境の中でも耐えるところ、決めるところなど要所をしめて勝機をものにするという意味に置き換えれば、十分に評価に値するものだ。

「雰囲気が完全アウェイでピッチも悪く、ミスが多く出る中、キルギスが仕掛けて来る攻撃に対して多くのピンチがありましたが、選手たちが我慢強く、辛抱強く、タフに粘り強く戦ってくれて、セットプレーから2得点で勝ててよかった。ただ、我々のレベルアップのために、さらにゲームコントロールして勝てるように、成長を目指していきたい」

 荒れたピッチもさることながら、キルギスのビルドアップに対して日本の守備がうまくハマらず、GKの権田修一が「左のストッパーのキャプテン(キチン)から右の6番(マイヤー)ですか、彼へのサイドチェンジはあれはたぶんキルギスの形なんだろうな」と語ったロングパスから右サイドの高い位置に起点を作られ、中央に数的不利を作られないため絞り気味のポジションを取っていた長友佑都が、その度に後手の対応を強いられた。

 日本の攻撃ではボランチの柴崎岳が「見た目より全然ボールが走らなくて」と振り返るように、グラウンダーのパスが受け手に到達するのに時間がかかったところにプレッシャーをかけられ、ビルドアップの段階から攻め手を制限された。そうした状況で割り切ったロングボールの活用が1トップの永井謙佑に当てて原口元気が拾ったところからのファーストチャンス、さらに右サイドの伊東純也の鋭い仕掛けに繋がった場面もあった。

完全アウェイの中、勝利できたことを評価すべき

 しかし、全体的にリズムが上がらず、ゴール前のピンチをセンターバックの吉田麻也と植田直通のカバー、権田のセーブに救われた流れから相手の隙を突いて吉田、遠藤航、伊東とつながり、最後は南野拓実が相手GKに倒されてPK獲得に持って行ったことは1つ評価できる。ただ、スタートでゲームの主導権を握れなかったことは仕方ないとして、そこから先制点までの時間帯も決して良い流れと言えなかったことは課題と捉えるべきだ。

 原口元気の直接FKによる追加点にいたる時間帯も、どちらかと言えばキルギス側が攻勢をかけていて、何とかピンチをしのいだ直後に遠藤航が果敢にボールを運んでバイタルエリアでファウルされ、得たチャンスだった。

 自分たちのリズムにできないなりにPKやFKのチャンスを獲得し、しっかりとモノにしたことをポジティブに評価することはできるが、2-0でも試合を十分にコントロールして安全に逃げ切ったというより、我慢強く戦いながらセットプレーを得点に結び付け、相手のミスやの最後のところの雑さに助けられての2-0だった。

 ただ、これまでを振り返れば親善試合、公式戦にかかわらず代表ウィークの1試合目はそれほど内容が良くない。前回の初戦はホームのモンゴル戦ということで助けられた部分もあった。

 欧州組は日本に来るより多少、移動で楽だったはずだが、それでもアウェイで月曜に13人、残る10人は火曜に合流し、戦術的な練習は前日の1時間だけという状況を考えれば、決して簡単ではない相手に勝ち切ったことは評価するべきだし、今後に向けても意味がある。

「2次予選はどう突破するかが大事」(柴崎岳)

柴崎岳
柴崎岳は「結果が最優先」と語る【写真:Getty Images】

 以前から「2次予選は突破するだけでなく、どう突破するかが大事」と語っていた柴崎は「こういう勝っている時ほど自分たちの足元を見つめるというのは簡単なことではないので、そう言ったことを肝に命じてやって行きたい」と厳しく自分たちを見つめながらも、ここまで4連勝で来たことの意味を強調した。

「結果が最優先ですので、そこを達成できたことはいい終わり方が今年はできたかなと。来年の3月と6月に向けて、あと1勝すればもしかしたら(2次予選の突破が)決まるかもしれないですし、2勝できたら確実に決めることができるので、3月で決めることができれば。もちろん内容を求めたり、常々言っているチームの雰囲気もしっかりと見極めながら、緩まないような空気を作って行きたいと思います」

 この段階から完成度の高いサッカーを披露することは難しい。しかも、2次予選の相手とは言えアジアの完全アウェイは自分たちのリズムでやり切ることは困難だ。その中でも得られた課題を次の改善、向上につなげていくことは大事だが、固定的なメンバーだけで成熟度を上げ続けること自体、実はあまり意味が無い。2次予選は何より結果を出して早期の突破を実現することが重要だ。

 柴崎が言う通り3月で突破を決めれば、6月の2試合は選手や戦術のテストに使うこともできるし、オーバーエイジやA代表のU-23選手に、森保監督が兼任する東京五輪代表の活動を優先させることも可能になる。その前に、19日には大阪でキリンチャレンジカップ2019のベネズエラ戦があり、来月には国内組だけで臨むと見られるEAFF E-1選手権が待っている。

 2次予選の残り4試合、突破を決めるまで予断は許さないが、ここまでU-22世代が中心だったコパ・アメリカ(南米選手権)をのぞけば、ほとんど固定的なメンバーで戦って来たところから、ベネズエラ戦で9人の国内組が加わり、さらにE-1選手権で多くの選手をチェックし、選手層を広げて来年3月の2次予選の突破がかかる2試合に向かって行く。

(取材・文:河治良幸【ビシュケク】)

【了】

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