日本代表、日韓戦惨敗の記憶。「何もできなかった」2年前…生き証人に託された重責【E-1サッカー選手権】

日本代表は18日、EAFF E-1サッカー選手権で韓国代表と対戦する。ともに2連勝で臨む日韓戦となったが、2年前の同大会で日本代表は1-4の惨敗を喫している。屈辱的な敗戦をピッチで経験した3人は、リベンジの重責を担うことになりそうだ。(取材・文:元川悦子【韓国】)

2019年12月16日(Mon)10時24分配信

text by 元川悦子 photo Getty Images
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「何もできなかった」2年前の日韓戦

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(左から)日本代表の中村航輔、井手口陽介、三浦弦太【写真:Getty Images】

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 EAFF E-1サッカー選手権も第2節が終了。日本に続いて韓国も香港と中国に連勝を飾り、タイトルの行方は18日の直接対決に委ねられた。予想外の観客動員数の少なさに苦しむ大会関係者にとっては最高のシナリオになったものの、18日の日韓戦は平日夜の開催。釜山での国内組対決に果たしてどれだけの人々が集まるのか。そのあたりも含めて動向が注目される。

 14日に香港を5-0で撃破した日本代表はいち早く気持ちを切り替え、日韓戦に向けて15日からリスタートを切った。この日は香港戦後に負傷離脱が発表された橋本拳人を除く22人が練習に参加。香港戦に先発した11人がクールダウンに務め、それ以外のメンバーが4対4+フリーマン+2GKなど実戦的メニューを消化した。

 チーム全体の競争意識はより一層高まったと言っていい。小川航基のハットトリックに触発されたのか、1トップのライバル・上田綺世が強引にゴールに狙う意欲を前面に押し出していた。

 2年前の2017年日本大会で日本代表は、韓国に1-4の惨敗を喫したている。屈辱的なゲームに出場していた三浦弦太、井手口陽介、中村航輔も次戦に特別なモチベーションを抱いているはず。井手口が「何もできなかった」が苦い経験を吐露し、中村も「勝ちたかった試合だけど、落としてしまった。理想通りに行かないのがサッカー」と悔しさを噛み締めたように、日本が隣国のライバルに4点を奪われたのは、実に38年ぶり(当時)という歴史的な事態だった。

解任の引き金となった惨敗

「開始早々に(伊東純也が)PKを取って(小林悠が)決めたことでフワッとした雰囲気になってしまった。『イケるかな』みたいな空気が流れた感じがあったかなと思います。そういう甘さが試合の全般に出た。球際もそうだし、ゲームコントロールもそうだった」と三浦も厳しい表情で述懐した。確かに2年前の日本は前半13分に同点弾を奪われて浮足立ち、22分間で3失点するというあり得ない戦いぶりを見せてしまった。

 最終的に完敗した後、当時の指揮官であるヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「韓国が日本より強いことは試合前から分かっていた。相手とのレベルに差があったし、韓国の方が格上だった」と相手を称賛するコメントを連発。日本中から凄まじい批判を浴び、これが解任の引き金にもなったと言われる。

 森保ジャパンも11月のベネズエラ戦で1-4の完敗を喫してから時間が経っていない。幸いにして今大会では2連勝と結果が出ているものの、永遠のライバルに不甲斐ない負け方をしようものなら、再び逆風が吹き荒れることは間違いない。その事態だけは避けなければならない。

 2年前の屈辱を知る3人は、同じ失敗を繰り返さないように、今回のチームのけん引役になることが強く求められる。現時点で日韓戦のスタメンはハッキリしていないものの、勝負のかかった大一番はA代表中心の計算できる守備組織で挑むだろう。おそらく中国戦に出場した中村と三浦はともにピッチに立つはずだ。彼らは韓国の攻めをしっかりと跳ね返すべく、ディフェンス陣をリードすることが肝要だ。

警戒すべき韓国のセットプレー

 香港・中国戦を見ると、韓国はサイドアタックに重点を置いている。クロスの精度やコンビネーションの問題もあり、ピンポイントで最前線に合う形は作れていないものの、日本戦になれば集中力も闘争心も一気に上がるだけにプレーの質も高くなる。そこは要注意ポイントに他ならない。

 もう1つはセットプレーの対応。今大会の韓国は香港戦で2点、中国戦で1点を奪っているが、そのすべてがリスタート絡みの得点。U-22世代のキックの名手、ファン・インボムのキックの精度が警戒しなければならないし、キム・ミンジェらDF陣の打点の高いヘッドも封じなければいけない。

 それを視野に入れて、三浦はこの日の練習後、橋岡大樹や畠中槙之輔らと空中戦の競り合いの練習に取り組んでいた。そこはGK中村含めて入念な対策を講じるべき。「個人個人が1対1で負けないこともそうですし、チームとして油断しないことが大事。2年前の経験を生かさないといけない」と彼自身も語気を強めた。

2013年韓国大会以来のタイトル獲得へ

 そして井手口も、橋本の離脱によってスタメンが濃厚となった。森保監督が香港戦で田中碧を早い時間帯に交代させたこと、この日の練習時に田中碧を呼んで2人で5~6分じっくり話し合っていた点を踏まえると、U-22世代の筆頭ボランチと井手口を組ませる考えなのかもしれない。

 2人はどちらもボール奪取が得意なタイプではあるが、井手口は遠目からのミドルシュートも持っているし、ボランチの位置からゴール前に飛び出す仕事もこなせて、攻撃にダイナミズムをもたらせる。そこをしっかりと発揮できれば、中盤で韓国を制圧し、試合を優位に進めることが可能だろう。

 2年前の井手口は惨敗を受けて「早く世界へ出てレベルアップしなければならない」と危機感を抱き、リーズ・ユナイテッドへの移籍を決意したが、今回は再び日本に戻って自らを立て直している段階。今はトップフォームの頃のキレとスピードが戻りつつある。それを日韓戦という大きな試合で実証できれば、彼自身も森保監督も大きな手ごたえと自信を得られるはずだ。

 そうやってすべてが前向きな方向に進めば、2013年韓国大会以来のタイトル獲得を現実にできる。敵地で宿敵を黙らせ、勝ち切った2013年7月28日のソウル・蚕室総合運動場の再現をぜひとも見せてほしいもの。中村、三浦、井手口の3人には勝利請負人としての重責が託される。

(取材・文:元川悦子【韓国】)

【了】

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