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マリノス史上初! ユース所属の津久井匠海とプロ契約「覚悟はできている」。幹部が経緯と期待語る

text by 編集部 photo by Yokohama F.Marinos

津久井匠海
【写真提供:横浜F・マリノス】

 横浜F・マリノスは25日、同クラブユース所属のFW津久井匠海と7月1日付でのプロ契約締結を発表した。

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 これまでも2種登録でユース所属選手がトップチームの公式戦に出場した例はあったが、高校卒業を待たずに育成組織所属選手がプロ契約を結ぶのは、マリノスにとってクラブ史上初のこととなる。

 25日にオンラインでのプロ契約締結報告会見に出席した津久井は、「自分はユースから横浜F・マリノスに入ったのですが、その時から高校生のうちにプロになりたいという強い意志を持って入団しました。そのプロ契約という目標を達成できて素直に嬉しく思います」と喜びを語った。

 津久井は群馬県出身ながら埼玉県の名門・江南南サッカー少年団で小学生時代を過ごし、中学時代はクマガヤサッカースポーツクラブでプレー。高校進学とともにマリノスに越境入団し、U-16からU-18まで世代別代表にも名を連ねてきた。

 会見に同席した小倉勉スポーティングダイレクター(SD)は「16歳になれば世界的に見ればプロ契約できる年代でもあるので、そこでプロに来られるレベルにあるのではないかと思って、15歳の時にマリノスとしてスカウトをしました」と明かした。

 だからこそ「もっと早くプロ契約をしてもよかったくらいの選手」とも小倉SDは語る。「2年半というのは決して短い期間ではなかった」というのも、期待の表れだろう。

 そうしてドリブルの推進力や球際の強さ、シュートのパンチ力など多彩な魅力を持つアタッカーとして津久井を高く評価していたマリノスは、新型コロナウイルスの影響で公式戦中断期間が長引いた今季はトップチームの練習にも定期的に参加させてきた。

 その中で急激に成長していく姿をアンジェ・ポステコグルー監督も見逃さなかった。「この成長曲線をここで止めるというのはクラブとしてもったいない」(小倉SD)とマリノスはクラブとして高校生でもトップチームの活動に軸足を置いてサッカーに集中できる環境作りに着手。本人や両親とも協議を重ねたうえでプロ契約に至った。

 津久井はプロサッカー選手として挑戦を始めるにあたり、「(マリノスは)Jリーグで今、一番レベルが高いと思いますし、自分のポジションにも仲川(輝人)選手や水沼(宏太)選手など偉大な先輩たちがいて、見習う部分もあります。そういう先輩たちと一緒にプレーしていく中で、自分も同じレベルにいかないと成長しないと思うので、リスペクトしすぎず、挑戦して、頑張っていきたいと思います」と意気込みを語った。

 今季はリーグ戦のみならず複数の大会を並行して戦う過密日程となり、若手にも公式戦出場のチャンスが増えることが見込まれる。「(活躍するイメージが)できていないと、プロサッカー選手になっていないので、やる覚悟はできています」と力強く語る津久井は、「チャンスを掴みとって、早いうちにピッチに立って活躍したいです。長い目で見たら、Jリーグで活躍して、いずれはヨーロッパへ、世界に出て活躍して日本代表になってワールドカップに出たいです」とさらなるステップアップにも意欲を見せた。

 小倉SDは「高校の途中であっても可能性がある選手であれば、マリノスとプロ契約して、トップチームへの登録も可能だということで、(育成組織の選手たちに)1つの夢を持たせることにもなると思います。そういう意味でも彼がこれからどのように活躍していくかは、クラブにとっても1つ楽しみにしているところです」と、津久井の今後に期待を寄せる。

「今のマリノスのサッカーを、この半年間でどれくらい、戦術的なこともそうですし、会得していけるか。それで将来が決まってくると思います」(小倉SD)

 まずは練習から貪欲にトップチームのアタッキング・フットボールを吸収し、7月4日に再開するJ1リーグ戦を皮切りに、YBCルヴァンカップやAFCチャンピオンズリーグなどの公式戦でどれだけの爪痕を残せるか。前年度王者の激しいチーム内競争に飛び込み、前例なき挑戦に踏み出す18歳の成長を大いに期待したい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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