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Jリーグ 10年前

4-0で完勝のFC東京は安定感が際立つ。新生清水は巻き返しなるか

text by 青木務 photo by 松岡健三郎

チーム再建に定評のある大榎監督に懸かる期待

エドゥーのボレー、武藤嘉紀のヘディングシュート、そして元清水の太田宏介の直接FKと前半で3点を奪い試合を決めると、後半にも1点を追加し圧勝した。攻撃は手を緩めず、守備は最後まで集中していた。

 これで3試合連続の完封勝利、合計で8得点を叩き出している。順位も5位に上げ、後半戦はリーグを面白くする存在になりそうだ。

 清水にとっては、大榎克己新監督の初陣を勝利で飾りたかったが、簡単に勝てるほど甘くはなかった。ドラスティックに変えるのではなく、これまでのベースを踏襲する形で前節と同じスターティングメンバーで臨んだ。監督就任から試合まで慌しく日々が過ぎ、できることはそれほど多くなかった。そのため、大榎監督のカラーが出るのはこれからだろう。

 チーム強化にはうってつけの人物である。Jリーグ初年度から参加した“オリジナル10”の清水で、最初のプロ契約選手だ。現役時代はJ1通算252試合出場した、誰もが認めるクラブのレジェンド。

 2004年に就任した母校・早稲田大学では、当時東京都リーグまで落ちていたチームを蘇らせ、2007年度には大学サッカー選手権(インカレ)優勝に導いた。

 2008年から清水ユースを率いていたが、ここでも安定した力を発揮できるチームを作り上げ、将来が期待される石毛秀樹をトップチームに送り出した。清水ユースは現在、強豪ひしめくU-18プレミアリーグEASTで戦っている。

 早稲田大と清水ユースでの実績もあり、大榎新監督にはチームの建て直しに期待が懸かる。

 この日は0-4の大敗となったが、ここがスタートラインだ。選手たちの最後まで諦めない姿勢に大榎監督も光を見出している。降格圏内の16位とは勝点差3と現状は残留争いが第一目標となるが、ここからの巻き返しに期待したい。

【了】

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