「マジか!」と驚いたヴィッセル神戸の新戦力。Jデビュー戦で存在感抜群、オルンガの再来となるか【コラム】

2021年04月20日(Tue)8時00分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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待ちに待ったヴィッセル神戸の新戦力がJリーグデビューを飾った。17日に行われた明治安田生命J1リーグ第10節の湘南ベルマーレ戦、後半途中からピッチに送り出されたケニア代表FWアユブ・マシカはいきなりインパクト抜群のプレーを連発し、今後への大きな可能性を感じさせた。(文:舩木渉)

神戸期待の新戦力がJリーグデビュー

アユブ・マシカ
【写真:Getty Images】

 新型コロナウイルス対策のため入国できていなかった新外国籍選手たちが、3月下旬から続々と日本にやってきて、ようやくJリーグデビューの準備が整い始めた。

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 17日に行われた明治安田生命J1リーグ第10節では、ヴィッセル神戸のFWアユブ・マシカが湘南ベルマーレ戦の66分から途中出場。待望の公式戦デビューを飾った。

 すでに使い古された表現かもしれないが、ピッチに駆け出したマシカの姿を見て「マジか!」と驚いた。

 2020年夏から無所属が続き、2020年11月のケニア代表戦を最後に公式戦から遠ざかっていたとは思えないほど身体は絞れている。特にまくりあげたパンツの下から覗いた太ももは、丸太を超えて樹齢数千年の縄文杉かと思うほどのたくましさ。前評判通りのフィジカル能力の高さがうかがえた。

 プレーも存在感抜群だった。積極的なディフェンスラインの背後への飛び出し、献身的なプレスバックなど、短い出場時間ながら爆発的な加速力や多少の接触ではブレない体幹の強さといった自らの特徴を存分に生かしたプレーで何度も見せ場を作った。

「隔離期間中も含め2週間ほど、かなり激しいトレーニングを積んできたので感覚はよかった。コンディションを上げるような練習をしっかりしてきたことが、今日、合流後すぐにプレーできたことにつながったと思う。結果は残念だったけど、個人的な感覚はよかったので、どんどんチームに溶け込んでいければと思っている」

 マシカは試合後、自身のJリーグデビューを嬉しそうに振り返っていた。先月26日に来日し、福島県のJヴィレッジで約2週間の隔離期間を過ごしたのち、今月11日の清水エスパルス戦でホームスタジアムに集まったファン・サポーターの前に初登場。その後、14日にチーム練習に合流して17日のデビュー戦を迎えた。

 ピッチに入ってすぐの69分、セルジ・サンペールからの浮き球パスに飛び出したマシカの加速は凄まじかった。惜しくもボールを足もとに収めることはできなかったが、ここから立て続けにチャンスを演出する。

 71分には味方のクリアボールを懐に収めて敵陣ペナルティエリア内に侵入すると、切れ味抜群のフェイントで相手ディフェンスをかわして右足を振り抜く。さらに72分、右サイドに流れたマシカは厳しい体勢にもかかわらずゴールライン際からグラウンダーのパスを繰り出し、古橋亨梧のループシュートを演出した。

最適なポジションは?

 試合の流れはケニア代表FWの登場によって大きく変わった。周りとのコンビネーションはまだまだだったが、マシカの身体能力の高さを生かすことで、神戸は終盤にかけて多くのチャンスを作った。83分には古橋からのパスを受け、独特なタイミングで2本目のシュートを放つなど、短い時間でも貪欲にゴールを狙うマシカの姿勢はチームに前向きなエネルギーをもたらしていた。

 神戸を率いる三浦淳寛監督も「チームメイトとのトレーニングは数回しかやっていないので、私自身も彼の特徴を全て把握しているわけではないですが、やはり彼の1対1で仕掛ける姿勢や、一瞬のスピードに関しては非常に可能性を感じました」と新戦力のプレーを高く評価している。

 チーム練習には3日間しか参加できていなかったため、「起用は少し悩みました」と指揮官は語るが、結果的には好スタートを切れたと言えるだろう。「これからもっとチームメイトと我々も彼の特徴をしっかり理解した上で、起用していきたいと思います」とマシカには大きな期待を寄せている。

 ただ、「前のポジションはある程度できると思いますけれども、最適なポジションはこれからしっかりと探していきたいと思います」という三浦監督の言葉通り、起用法は模索段階のようだ。

 マシカは湘南戦で、最初は古橋と2トップを組んだ。その後、郷家友太とも2トップを組み、最後は左サイドでプレーした。アディショナルタイムを含めても30分弱の出場で3通りのパターンを試したことになる。

 細部を見ると、2トップの一角に入った時もサイドに流れながらボールを引き出す動きが多かった。マシカ本人も「ここ数年、95%の試合は左の前線でプレーしていることが多かったので、自分としては左サイドが一番心地よくプレーできるポジションだと思う」と述べており、今後は左サイドで起用されることが増えそうだ。

 クラブ公式YouTubeで公開された動画「僕はかなり足が速いと思う。どのくらい速いかを伝えるのは難しいけど、コンディションが良い時はかなり速い。世界最速のサッカー選手という記録を破りたい」と豪語するほどのスピードや高い身体能力は、チームの大きな武器となるに違いない。

イニエスタも復帰すれば…

アユブ・マシカ
【写真:Getty Images】

 神戸は現在10試合を消化して5勝4分1敗、勝ち点19で暫定5位につけている。勝ち切れない試合も多いが、さらに上位も狙える好位置だ。マシカがJリーグデビューを果たし、今月上旬に入国したブラジル人FWリンコンの合流もまもなく。また、アンドレス・イニエスタという最重要人物の復帰も間近に迫っている。

 彼らの存在は間違いなく神戸にとって追い風になる。イニエスタやリンコン、マシカを共存させて、ポテンシャルを最大限チームに還元していく作業は骨が折れるだろうが、最適なバランスを見出せた時には傑出した爆発力を発揮するのではないだろうか。

 マシカは「チームにはいい形で入れたと思う。すごくウェルカムな雰囲気で迎えてくれたのが、うまく溶け込むのに重要だったと思う」と新しい環境への順応にも自信を見せていた。

「自分は昔から人と接するのは好きな方なので、特に困ったことはない。まだ日本語を勉強する時間はそれほどなかったけど、これからちゃんと勉強していきたいと思う。チームメイトのみんなは温かく迎え入れてくれたので、すぐチームに溶け込むことができたし、中には英語を話せる選手もいる。そういった選手たちを中心にコミュニケーションをとるようにしている」

 クラブ公式SNSなどで発信されてきた動画や試合後のオンライン会見での様子を見ていると、マシカが明るくポジティブでフレンドリーな性格なことはよく伝わってきた。チームメイトと打ち解けるのも早いだろう。

 元柏レイソルのオルンガからも勧められた神戸移籍を叶えた快足アタッカーは、Jリーグを震撼させたケニア代表のチームメイトのようなインパクトを残せるだろうか。日本行きを予感した「第六感」が正しかったことをプレーで証明し、神戸をさらなる高みに導く活躍に期待したい。

(文:舩木渉)

【了】

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