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川島永嗣、約1年半ぶりの日本代表戦出場。ピンチ極少でも存在感抜群「なかなか使ってもらえないですけど…」

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

川島永嗣
【写真:田中伸弥】


 日本代表は28日、カタールワールドカップのアジア2次予選でミャンマー代表に10-0の大勝を収めた。

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 先発起用されたGK川島永嗣は2019年11月のベネズエラ代表戦以来、約1年半ぶりとなる日本代表戦出場となった。カタールワールドカップ予選は初出場で、自身3度目となるワールドカップ予選でのプレーも果たしている。

「やっぱり代表の試合というのは特別ですし、次のワールドカップへ向けた1試合に関われたことは自分にとってもすごくうれしいですし、今日の勝利もうれしいですし、それに関われたこともうれしいです」

 最近は招集メンバーに含まれながらも、ベンチで試合を見届けることが続いていた。カタールワールドカップ予選ではGK権田修一が継続的に起用されていたが、ミャンマー戦は国際Aマッチウィークから外れていたため清水エスパルス所属の権田は不在。重要な試合で出番が回ってきた。

「なかなか使ってもらうことはないですけど、必要とされるときに自分としてはしっかり仕事ができるように常に準備しています」

 まさに言葉通り、川島は久しぶりの日本代表戦ということを感じさせないパフォーマンスだった。ピンチを迎える場面はほぼなかったが、常に大きな声で味方に指示やアドバイスを送り、最後方から的確に試合をコントロールしていた。

 例えば、立て続けにゴールが生まれてイケイケ状態になっていた後半の終盤、攻撃陣の選手たちがどんどん中央寄りに集まってしまっていた時間帯には「狭くなりすぎるな!」と繰り返し声をかけてポジショニングのバランスを整えるよう促す。

 チームが前がかりになっているとカウンターのリスクも増大するが、ボールを失った瞬間に大きな声で味方選手の名前を呼び、素早く帰陣するよう意識づけを怠らなかった。特に何度も名前が聞かれたのは、左サイドバックのDF長友佑都だった。

 森保一監督は「攻めている時にカウンターを警戒しなければいけないのを意識しながら戦えたので、相手のレベルが上がってもリスク管理から守備ができるのはチーム内で共有できたと思います。点差が開いた後もしっかり攻守の切り替えをして、お互いが関わるところが収穫だと思います」と語っていたが、これらの要素にボールのないところで大きく関わっていたのが最後尾のベテラン守護神だった。

 川島は「自分の経験をチームに少しでも生かせるように、という気持ちでいるので、チャンスを任せられているのは嬉しいですし、自分としてはどのような形であっても、日本代表というチームにプラスになるように、そういう存在でいたいと思います」と、改めて代表への思いを強くしたようだ。

 今季はフランス1部のストラスブールで第3GKから這い上がり、リーグ戦24試合に出場。クリーンシート(無失点)も8試合で記録するなど、38歳でも欧州5大リーグの正守護神を任されるにふさわしい実力を維持していることも証明した。

「二桁得点を取れたことはチームにとっては自信になると思いますけど、こういう結果を残したなかでも自分たちはこれから(ワールドカップの)最終予選に向かっていったり、より強い相手とやっていって、どうやって質を上げていかなければいけないか、自分たちがより守備でも攻撃でもいかに効果的になっていくのかを、もっと突き詰めなければいけない。もっともっとこのチームはよくなっていくと思いますし、成熟という意味ではまだまだもっと先なんじゃないかと思います」

 充実のシーズンを過ごして久しぶりに日本代表戦でピッチに立った川島は、まだまだ先を見据えている。常に先頭に立ってチームを鼓舞する、頼れる守護神の存在感は健在だ。

(取材:元川悦子、文・構成:編集部)

【了】

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