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久保建英 3年前

久保建英のプレーは空回り。20歳の理想と現実の差、U-24日本代表で第一に考えるべきことは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

久保建英は「個人の勝負」だった



 前半のグループである程度、戦えていたのは久保建英くらい。期待値の高かった三好康児と遠藤渓太の両欧州組もドリブル突破やチャンスメークが見られなかったし、「自分から仕掛けてやろう」といった気概も感じられなかった。1トップに抜擢された田川亨介もゴール前に抜け出した20分の決定機を逃してしまう。それ以外は谷口彰悟ら日本代表の最終ラインに封じ込められ、いいところなく終わってしまった。

 ボランチにしても、板倉滉と中山雄太はA代表経験のあるコンビだったが、距離感が遠く、攻守の連動性を欠いていた。オーバーエージの遠藤航が出てきた後半のラスト15分間は目に見えて強度が上がり、ボール奪取の回数が増えた。攻撃への推進力が出たのを見れば、選手個々の修正力が足りないということ。そのあたりはしっかりと認識してもらいたい。鎌田に得点を決められた橋岡大樹ら最終ラインもまだまだ。貪欲に高みを目指してもらうしかない。

 こうした実情だけに、世界基準やトップレベルの強度を熟知する久保にはそれを周囲に伝える意識をより強めてもらう必要がある。U-24日本代表も海外組が増え、この日のスタメンのうち7人が欧州クラブ所属選手だったが、5大リーグで継続的に出場機会を得ているのは久保だけ。この2年間でマジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェを渡り歩き、リーガ・エスパニョーラ66試合に出場。最高峰の強度や球際や寄せの激しさを体感してきたはずだ。

 その経験値を備えているからこそ見せたプレーもある。今回の兄弟対決でも前半途中から得意のドリブルで突破を試み、何度かファウルをもらってFKのチャンスにつなげた。それをゴールという結果に結び付けられず、本人も悔しいだろうが、大半のプレーが「個人の勝負」にとどまっていたのは問題だ。U-24日本代表の攻撃陣全体をスムーズに動かすようなアクションを彼自身が起こしていかなければ、停滞感は打破できない。

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