「本間至恩は今や日本人トップレベルの…」。アルビレックス新潟指揮官が語る若き才能【インタビュー前編】

2021年06月09日(Wed)9時00分配信

シリーズ:コラム
text by 小澤一郎 photo Getty Images
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魔境J2で今シーズンスタートダッシュに成功したアルビレックス新潟。禁断の「脱J2魔境マニュアル」と題し我が国が誇る2部リーグ・J2を特集した、6月7日発売『フットボール批評issue32』から、成績、内容ともに今季のJ2を牽引する存在となっているアルビレックス新潟。その陣頭に立つアルベルト・プッチ・オルトネダ監督へのインタビュー記事を一部抜粋して前後編で公開する。今回は前編。(文:小澤一郎)

「いつ、どこで」武器を使うのか使わないのか

本間至恩
【写真:Getty Images】



――今季のラ・リーガ1部では日本人が4人プレーしていました。例えば、日本のメディアは久保建英を取り上げる際、必ずといって言いほど彼のドリブルやオンザボールのプレーを取り上げます。メディアで働いている人間が指摘していいことではないですが、そういった取り上げ方も日本サッカーの課題とリンクしている気がします。

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 久保に関してはオフザボール、戦術面で問題を抱えているから試合で使われないのです。監督は日々のトレーニングで彼のプレーを見ているわけで、そういった点も全て見ています。彼はもう長くスペインでプレーしています。18歳からではなく、幼い頃からバルセロナでプレーしているのです。それを忘れてはいけません。

――エイバルの乾貴士についてはどうでしょう? メンディリバル監督の下、相当守備のポジショニングが向上しました。日本でプレーした時の乾の評価はいつも「ドリブラー」「突破力」でしたが、彼は今スペインで全くそうした評価を受けていません。

 そうですね。その意味ではわれわれのシオン(本間至恩)と同じです。新潟に来る前から、彼の武器がドリブルなのは知っていました。

 そういう選手に対する指導は監督として2つあります。まずはボールがない時の守備戦術を教えること。彼と出会った時にはまだ守備を知りませんでしたが、今や日本人アタッカーでトップレベルの守備戦術を兼ね備えた選手になりました。

 それとプレーエリアに応じた状況判断です。そうした指導はドリブルが得意な選手のタレント性を低下させるものではなく、逆に向上させるものなのです。

 今や誰もがシオンのドリブル、突破力、スピードを認めています。だからこそ、彼のような選手は「いつ、どこで」その武器を使うのかを理解しなければいけません。それは同時に、「いつ、どこで」その武器を使わないかを知ることでもあります。

 私はシオンにそうした指導をしましたが、本来選手というのは育成期間にそうした指導を受ける必要があります。そのためには、育成年代の指導者にそうした指導の必要性を伝える人間も必要です。

(文:小澤一郎)


『フットボール批評issue32』

≪書籍概要≫
定価:1760円(本体1600円+税)

禁断の「脱J2魔境マニュアル」

我が国が誇る2部リーグ・J2は、「魔境」の2文字で片付けられて久しい。この「魔境」には2つの意味が込められていると考える。一つは「抜け出したいけど、抜け出せない」、もう一つは「抜け出したいけど、抜け出したくない気持ちも、ほんのちょっぴりある」。クラブの苦痛とサポーターの得体のしれない快楽が渾然一体となっているあやふやさこそ、J2を「魔境」の2文字で濁さざるをえない根源ではないだろうか。

1999年に創設されたJ2は今年で22年目を迎える。そろそろ、メスを入れることさえ許さなかった「魔境」を脱するためのマニュアル作りに着工してもよさそうな頃合いだろう。ポジショナルプレーとストーミングのどちらがJ2で有効か、そもそもJ2の勝ち方、J2の残留におけるメソッドはできないものなのか。このように考えている時点で、すでに我々も「魔境」に入り込んでいるのかもしれないが……。

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【了】

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