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吉田麻也が「一番納得できなかったところ」とは? 東京五輪へ、U-24日本代表が向き合う不安要素

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

吉田麻也
【写真:田中伸弥】


 キリンチャレンジカップ2021が12日に行われ、U-24日本代表はU-24ホンジュラス代表と対戦して3-1で勝利を収めた。

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 2ゴールを奪って相手に1本もシュートを打たせなかった前半の試合運びがほぼ完璧だっただけに、後半の失速ぶりは際立った。ホンジュラスに主導権を握られ、ミスからカウンターを食らって失点。終盤に再びゴールを奪ったものの、東京五輪に向けて日本には課題が突きつけられた。

「前半良かったと思うんですけど、やっぱり後半に3点目を先に決めないといけない。前半も仕留められるところがありました。そこで3点目を取れていれば、試合を終わらせることができたでしょうし、逆に『2-0から1点を返されると相手も勢いづく。それは気をつけよう』という話をハーフタイムにしていながら、実際そうなってしまった」

 キャプテンとして先発出場した吉田麻也は、後半のパフォーマンスを「今日一番納得できなかったところ、課題かなと思います」と振り返った。彼自身も「後半にパフォーマンスが落ちた」と認め、「全体的にもミスが増えた」と悔やむ。

 1ヶ月近く実戦の場から離れていた海外組の選手も多く、後半に入ってからチーム全体の運動量が落ち込んでしまった。「ここからもう1つ、フィットネスのギアもテクニカルな部分も上げていかなといけないなと感じています」と、吉田は気を引き締めていた。

「細かいミスをなくすことと、うまくいかないときに軌道修正もっとうまくしないといけない。前半で3点目を決められたかもしれないけれど、2-0での前半の終わり方、ボールの回し方も良かったと思うし、後半の入りも悪かったと思わない。ただ、徐々に徐々に流れを持っていかれるなかで、もう一度自分たちで流れを引き寄せられる力、ゲームマネジメント(が必要)。あとは3点目を確実に取る。相手のチャンス少ないところで1点取られてしまいましたけど、そこらへんがちょっと連動含めてうまくいかなかったですね」

 もちろんネガティブなだけではない。コンディション調整に関して、吉田は「非常に良い状態にあると思います。もちろん、まだ過程の途中だと思いますけれど。良い形で来ています」と語る。体調のピークを迎えるのは今ではなく、あくまで東京五輪本大会に入ってから。

 センターバックで吉田の相方を務めたDF冨安健洋も、現時点でのコンディションを「僕個人的には80%くらいまできていると思います」と明かしていた。東京五輪の初戦が22日であることを考えれば上々だろう。ホンジュラス戦で負荷をかけたことにより、今後さらに状態は上がっていくと考えられる。

「全体としてはけが人もなく、良い形で来られている。開幕は100%でいくのか、80%くらいでいくのかは人それぞれになりますけど、個人的にも良いプロセスを踏めているんじゃないかと思います。ここで気を抜かず、もちろんコンディショニングと試合内容の両方を求めていく。次のスペインは強いと思うので。もう1回良い準備をして戦いたいなと思います」

 吉田はホンジュラス戦を教訓とし、チームと個人の両面でさらに準備を加速させていくことを誓った。苦しい戦いを経験したことで、これからチームとして突き詰めていくべき点も明確になった。

「やっぱり(必要なのは)共通理解ですね。お互いに流れを理解して、(前に)行くところと、行かないところをハッキリさせないといけない。正直、前回(6月の9の合宿ではみんながアピールしたいというところで、ほぼほぼギアを上げていた。僕も意識して強度を落とさないというようにやっていました。

時間の使い方も気にせず、僕もすぐプレーを再開させたりしていたんですけど、本大会はもっと暑くなる中で、どうやって時間を使うか、どうやってゲームの流れを引き戻すか、相手に渡さないか。次はそれをもう少しやりたいです」

 17日にはU-24スペイン代表戦が予定されている。優勝候補の一角と目される欧州の強豪相手に、日本が主体的にゲームをコントロールできることを証明できれば、目標である東京五輪でのメダル獲得はぐっと近づくはずだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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