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日本代表 3年前

U-24日本代表、久保建英、堂安律ら「2列目がより力を出せる」。林大地が他のFWより優れているのは…【コラム】

text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka

冷静かつ的確な判断でアシストを記録



 3日前に来日したばかりのホンジュラスの状態が悪く、強度の高い入りができなかったのも追い風となり、U-24日本代表は序盤からハイペースな展開で主導権を握った。最前線に陣取った林は、中山からの縦パスを受けて久保に流した開始4分のポストプレーをきっかけに流れをつかみ、身体を張ってタメを作る仕事を随所に見せるようになる。開始13分の吉田の先制点も精神的余裕につながったのか、彼は五輪代表での実績不足を感じさせないほど前線で躍動。2列目トリオといい距離感を保ちながら攻撃リズムを作った。

 その背番号19が最も強い輝きを放ったのが、前半40分の追加点のシーン。始まりは冨安のインターセプトだった。三好とのワンツーで左サイドに上がった彼は中央にライナー性のクロスを入れる。これを三好がスルーし、その奥にいた林がしっかりとキープ。詰めてきた堂安にラストパスを送り、待望の追加点が生まれたのである。

「最初はキープして強引に前向いてシュートを打とうかなと思っていたけど、律がすごいいい位置に入ってきたのが間接的に見えたし、律も呼んでいたので、そこは迷うことなく出しました」

 林も振り返ったように、五輪出場国のDF相手を背負いながら、冷静かつ的確な判断ができた点は心強い。大柄で屈強な敵を背後に回しつつ、低い重心で上半身をうまく使ってボールをキープするという大阪体育大学時代に体得したスキルで得点をお膳立てしたことで、彼自身も少なからず自信をつけたはずだ。

 結局、林は後半18分までプレー。ポスト役としてのタスクをしっかりと果たし、3-1の勝利に貢献した。特に際立ったのが、2列目を押し上げる時間を稼ぐと同時に、マークを引き付け、スペースを作る重要な仕事を遂行したことだ。彼のタメを作る力は、その後ピッチに立った快足FWの前田、オールラウンド型の上田よりも優れているといっても過言ではない。堂安や久保もA代表で大迫勇也と共演している時のような感覚でプレーできたのではないか。

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