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日本代表 3年前

U-24日本代表、久保建英、堂安律ら「2列目がより力を出せる」。林大地が他のFWより優れているのは…【コラム】

text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka

「2列目がより力を出せる」

堂安律
【写真:Getty Images】



 実際、堂安も「(大地君は)本当にシンプルに2列目の僕たちに預けてくれる印象が練習からありました。試合前から『律のところに落とすから』と声をかけてくれていたし、すごく距離感もやりやすかった」と手ごたえを口にしていた。林という「第3のFW」が今のU-24日本代表にもたらしたものはやはり大きかった。

「3人のFWにはそれぞれ個性がある。大然君はスピードがあるので、押し込まれた時に前に運んでくれるのがチームとして有難い。綺世は一発のクロスからのシュートだったり、決定力がすごくある。今日大地君が見せたような僕たち2列目を生かすようなポストプレーもチームに必要。本当に前の選手が個性を出してくれれば、自分たち2列目がより力を出せると思います」と堂安が強調した通り、3枚のFWがそれぞれの特徴と独自性を最大限発揮し、最前線を引っ張ってくれれば、本番の対戦相手もつかまえづらくなる。林を使えるメドが立ったのは、森保監督にとっても収穫と言っていい。

 ただ、林自身はホンジュラスと互角に渡り合えたことを過信してはいけない。南アフリカ、メキシコ、フランスというグループリーグの相手はもっと強度を上げてくるし、球際や寄せも激しいはずだ。173cmの小柄な林が一段階レベルの上がった相手に対し、いかにボールを収め、起点を作るのか。それは今後のテーマとなってくる。

 本人は「自分よりデカい選手に対しての身体のつけ方は大学時代から練習してきたので自信をもってやることができました」と話したが、本大会では未知な領域に直面し、苦しむ状況も出てくるだろう。圧倒的重圧のかかる五輪で即座に解決策を見出さなければいけないのは酷だが、それをしなければ日本のFWの軸を担う存在にはなれない。「序列を上げたい」と野心を口にしていた男には大きな責務が課せられるのだ。

 加えて言うと、フィニッシャーとしての能力も向上させるべきだ。この日もペナルティエリア左隅で相手を切り返しながら打った前半19分の右足シュート、久保からのラストパスを受けて右足を合わせながらGK正面に飛ばしてしまった前半29分のシュートという2本の決定機を迎えながら、決められなかった。

「自分はやっぱりゴール前で勝負したいし、決め切る責任がある。ゴール前で勝負させてもらっているからこそ、決め切らないと行けないと思います」

 そう語気を強めた以上、課題をクリアするしかない。荒削りの雑草系アタッカーは大舞台で何かをやってくれそうな予感がする。いい流れが来ている今を逃す手はない。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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