フットボールチャンネル

日本代表 3年前

U-24日本代表の運命を分けたPK戦、完全ドキュメント。ニュージーランド戦最後の11分間に何が起こっていたのか【コラム/東京五輪男子サッカー】

シリーズ:コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images, JMPA

 森保一監督率いるU-24日本代表は7月31日、2大会ぶりに五輪の準決勝進出を果たした。U-24ニュージーランド代表と対戦した準々決勝は120分間の死闘の末、PK戦までもつれる展開に。勝ち上がりを決めるまで、ピッチの上では一体何が起こっていたのだろうか。(取材・文:舩木渉)

PKキッカーは挙手制に

U-24日本代表
【写真:Getty Images】



 U-24日本代表が東京五輪でメダル獲得まであと一歩に迫っている。

【今シーズンのJリーグはDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】


 グループステージを出場国中唯一の全勝で切り抜け、迎えた7月31日の準々決勝。相手はU-24ニュージーランド代表で、試合前から厳しい戦いになることが予想された。

 実際の試合も、その見立て通りに。ニュージーランドの徹底した対策をなかなか打開できないまま時間だけが過ぎ、0-0のまま延長戦に突入する。そして延長前半、後半…とゴールネットは揺れることなく120分間の死闘が終わった。

 結論を先に言えば、日本はPK戦の末に準決勝進出を決めた。主審のホイッスルで延長戦が終わってから吉田麻也が最後のPKを決めて歓喜に沸くまでの約11分間、ピッチ上では一体何が起こっていたのだろうか。

 120分間の戦いを終えてベンチに帰ってきた選手たちは、PK戦の順番決めを始めた。森保一監督はあえて事前にPKキッカーの順番を考えておらず、あえて選手たちの意思に任せる判断を下したという。

「PK戦の順番については、いろいろな順番の決め方があると思います。試合の終わり頃に、私やスタッフで順番を決めることも少し考えていましたが、やはり選手たちの疲労度等々、あとPKのキッカーとしての思いもあると思ったので、挙手で自信を持って蹴れる選手、そして『自分が決めてやる』という思いを持って、キッカーとして立候補してくれる選手たちの思いを大切にしました」(森保監督)

 もし監督の判断でPKキッカーを指名していたら、本来は蹴りたくないと思っていた選手や、あるいはPKが苦手な選手、疲労で脚に思うような力が入らない選手などが選ばれていたかもしれない。それよりも選手自身の「俺が蹴る」「俺が決める」という強い意志や責任感を尊重した方が、成功の確率は上がるだろう。今のU-24日本代表には大舞台の緊張感に負けない強い精神力を持った選手が揃っているのも大事な要素だった。

 最初に手を挙げたのは、上田綺世だった。後半から途中出場していたストライカーは、81分に絶好機を相手GKマイケル・ウートのスーパーセーブに阻まれていた。

「自信もあったけど、この状況を作ったのは僕なので。(決定機を逃したのを)取り返すことはできないけど、1本目に自分がしっかり決めてチームを勢いづけることしか僕にはできないと思ったので、1本目に立候補しました」

1 2 3 4 5 6

KANZENからのお知らせ

scroll top