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マリノスDF角田涼太朗、加入後初のフル出場で充実感語る。Jエリートリーグは名古屋グランパスに敗戦

text by 編集部 photo by Wataru Funaki

角田涼太朗
【写真:舩木渉】



【横浜F・マリノス 2-3 名古屋グランパス Jエリートリーグ A組第8節】

 若手選手の育成促進を目的とするJエリートリーグのグループA第8節が22日に開催され、横浜F・マリノスは名古屋グランパスに2-3で敗れた。

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 同日にJ1リーグ戦が組まれていたこともあり、名古屋はトップチームの選手を起用せず。U-18所属選手主体のチームにU-18OBの大学生を練習生として組み込んで試合に挑んだ。

 一方、マリノスはトップチームからGK田川知樹、DF平井駿助、FW南拓都の高卒ルーキー3選手に加え、今夏に筑波大学から加入したDF角田涼太朗を先発起用。また、2023シーズンからの加入が内定している関東学院大学所属のFW村上悠緋もスタメンに名を連ねた。

 試合は序盤に動いた。7分に速攻からMF豊田晃大がゴールネットを揺らし、名古屋が先制に成功する。マリノスは中盤での危険なボールロストが多く、何度もカウンターからピンチを招く。

 なかなかリズムに乗れない中でもGK田川の好セーブ連発などでしのいでいたが、31分にMF甲田英將のゴールで名古屋に追加点を奪われてしまう。その後、マリノスはPK失敗もあったが、前半アディショナルタイムに練習生のFW橋本丈が追撃の1点を奪い1-2で前半を終えた。

 逆転を目指したいマリノスだったが、後半もチーム内の連係が整わず主導権を握れない。60分には再び甲田にゴールネットを揺らされ、再び2点差に。85分にはマリノスユース所属のMF内野航太郎が2点目を奪ったものの、2-3で敗れてエリートリーグの連勝は3で止まった。

 即席チームに近いこともあり、ディフェンスラインと中盤の連係が最後まで不安要素だった。キャプテンマークを巻いていた角田は「特に前半はテンポがすごく悪かった。選手の立ち位置がすごく悪かったので、パスコース自体があまりない状態が続いてしまい、ミスをすごく連発してしまったので、そこはまず改善できた点だと思います」と悔やむ。

「相手の間にもっとしっかりポジションを取る。1歩、2歩の移動で解決するところが、結局ボールを失って何十メートルも走らなきゃいけないことに全体的につながっていたので、やっぱりそこを要求していくべきだったと思います」

 角田と同じ感覚を、GKの田川も共有している。高卒ルーキーの守護神は「これまでエリートリーグを戦ってきて、いい時はしっかりコミュニケーションも取れていたんですけど、今日はなかなかみんな合わずに、テンポもなかなか出なくて、自分たちのサッカーができなくなってしまった」と敗因を分析する。

 ただ、こうした経験も「若い選手たちが力をつけて、認められていくために貴重な試合」だと、マリノスを率いた松永英機監督は語る。トップチームのケビン・マスカット監督もピッチサイドから見守った試合は、若手選手たちにとって敗戦の中から成果と課題を見つめ直すきっかけとなっただろう。

 マリノス加入後初、約2ヶ月ぶりという90分間フル出場を果たした角田も、貴重な実戦の機会で成長への糧を得たようだ。「自分のビルドアップのところは、通用する部分」と語る筑波大出身のルーキーは自らの課題を明確に認識している。

「やっぱり自分に今一番足りないと思うのは、前に潰しにいく力かなと思っています。この先、J1のトップレベルでやっていくには、屈強な外国籍選手だったりを相手にしなければいけないので」

 トップチームで主力として活躍するDFチアゴ・マルチンスやDF畠中槙之輔は「もちろんすごく高い壁」だ。少しでも近づくためには「前に潰しにいく力、センターバックとしての力強さ」を身につけていく必要性を痛感している。

 マスカット監督からも日々、チアゴや畠中を手本に「2人をしっかり見て学べ」と助言を受けている。大学卒業を半年後に控えながらプロ入りを前倒しし、トップレベルを毎日肌で感じられる環境に身を置くという判断は決して間違っていないと確信しているとも語った。

「シーズン途中に大学を前倒しで辞めて加入したということで、世間体で見たら『なんだ、あいつ全然試合出てないじゃん』『全然メンバーにも絡めないのに何で(プロに)行ったんだ』と、たぶん思われているでしょうし、そこは自分がこれから証明していかなければいけないところ。

でも、実際に自分自身に後悔は一切ないですし、むしろこのレベルに早く来られて、この2ヶ月一緒に(プロの環境で)練習ができていることは、すごくプラスに捉えています。この先のサッカー人生、まだまだ長くやりたい。そのためにもこの期間はすごく充実していますし、自分にとってはすごくプラスになっていると思います」

 トップチームの公式戦で出場機会が限られる選手にとって、Jエリートリーグは実戦を通して成長を確かめられる貴重な機会になっている。「(出番が少ない)この期間を悲観的に捉えるのではなく、むしろ成長するためのいい時間だと思って過ごしている」と自らの日々の成長にフォーカスする角田にとっても、名古屋戦の90分間は重要な財産になったはずだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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