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放置され続けたマンチェスター・ユナイテッドの問題とは? “依存”か“信頼”か、C・ロナウドは超人だが…【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

疑問の残るスールシャール監督の采配



 エメリ監督が、マンUのウィークポイントを突こうとしてきたのは明らかだった。より正確に言えば、“ピッチ上のどこであれば自分たちが優位に立てるか”を考えた上で、ゲームプランを練ってきたと言えるだろう。マンUに対して自分たちが優位に立てるポイントとは、つまりダロトに対してダンジュマが優位に立てる左サイド(マンUにとっての右サイド)だったのだ。

 逆に言えば、マンUは前半から右サイドで劣勢に立たされていたわけだが、ハーフタイムを経てなおこの問題を放置したオーレ・グンナー・スールシャール監督の采配には疑問符が付く。ダロトがダンジュマとの1対1を迎えるのを避けるために、同サイドのメイソン・グリーンウッドの基本ポジションを低くして守備に参加させるなど、何らかの修正があっても良かったのではないか。

 もちろん結果論になってしまうが、失点の場面を振り返ると、ハーフスペースのマヌ・トリゲロスにボールが入ったタイミングで、その外側を走り出したダンジュマにグリーンウッドが付いていったとしたら、ダロトは目の前をドリブルするトリゲロスの対応に専念できていただろう。もっと言えば、その前の段階で、降りてきたワントップのアルカセルに釣られて、CBのラファエル・ヴァランまでもがセンターサークル付近まで飛び出して裏のスペースを空けてしまったことにも問題はあった。

 いずれにせよビジャレアルに先制を献上した場面は、依然としてチームとしての守備が整備されていないという、マンUの欠点の縮図と言えるだろう。この場面を観た人によっては、失点したのは右SBが控えのダロトだったからで、レギュラーのワン=ビサカがいれば失点は防げていたという考え方もあるかもしれないが、それは本質的な問題を放置することになりかねない。

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