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日本代表 2年前

「ぶっつけ本番」と思えない…日本代表の大胆采配、オーストラリア戦で手にした大きな強みとは?【コラム/W杯アジア最終予選】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

日本代表の大胆采配は続く


 前半はこの後も酒井宏樹と長友佑都の両サイドバックが高い位置を取って攻撃を仕掛けることができ、南野と大迫が近い距離で絡んだり、伊東が縦への突破力を前面に押し出すなど、個々のよさが随所に出た。

 遠藤の縦パスに大迫勇也が抜け出した35分の決定機など追加点のチャンスもあった。そこで突き放していたら、もっと楽な展開になっていただろうが、前半は41分のタガートのポスト強襲の決定機以外は安心して見ていられた。それも中盤3枚がもたらした安定感によるところが大だった。

 後半に入ってからも森保監督は強気の采配を貫いた。13分に大迫が内転筋を痛めると、瞬く間にスイッチを決断。それも同タイプのオナイウ阿道や実績ある原口元気ではなく、古橋亨梧というカードを切った。

 前々から「古橋はトップに入れなければ得点力が生きない」と指摘されていたが、ギリギリの局面で指揮官はついに最前線起用に踏み切ったのだ。その結果、日本の前線からの守備に鋭さが増し、攻撃面でも推進力がアップ。相手守備陣は嫌で仕方なかったはずだ。

 いいリズムが続いた後半20分、日本は長友が上がった裏を突かれ、ボイルがクロス。反応したフルスティッチを削りに行った守田がファウルを取られ、一度はPK宣告を受けた。それがVARのレビューを経てFKに変わり、安堵したのも束の間、そのフルスティッチの左足シュートが決まってしまい、1-1の同点に追いつかれた。

「残り20分あったので、時間は十分あると思っていた」とキャプテン・吉田麻也は語ったが、仮にドローで終わったらグループ2位以内は絶望的になり、プレーオフ圏内の3位さえも危うくなる。それだけに緊迫感と焦燥感が募ったが、指揮官は迷わず南野と浅野拓磨を交代。さらに長友と守田に代えて中山雄太と柴崎岳を相次いで送り込んだ。

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