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吉田麻也が偉業達成に迫る。来年にも“アジアの壁”超えは確実、盟友も称賛「いやあ、レジェンドですね、吉田さん」

text by 編集部 photo by JFA

吉田麻也
【写真提供:JFA】



 サッカー日本代表のキャプテンを務めるDF吉田麻也は、2010年1月のイエメン代表戦でA代表デビューを飾ってから約12年で112キャップを積み上げてきた。

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 今年10月のサウジアラビア代表戦でA代表通算110試合目の出場を果たし、2000年代に日本代表を支えた中澤佑二氏の通算出場記録に並んだ。そして、続くオーストラリア代表戦でセンターバックの大先輩の記録を抜き、今月11日のベトナム代表戦で112試合目を刻んでいる。

 吉田と日本代表デビュー当時から共に戦い続けてきたDF長友佑都は感慨深げに「(中澤)佑二さんを超えたんですね、すごいですね。しっかり積み重ねて、いやあ、レジェンドですね、吉田さん」と語った。

「プレーヤーとしても海外に出て、日本代表で試合をするたびに成長してきて。彼の成長はずっと見てきていますし、キャプテンになって、責任感だったり、日本代表に対する誇りも彼から感じます。年下ですけど、人として尊敬できる存在、頼もしい存在ですね。彼がいることによって安心感がありますね。チームに安心感を与えていると思います」

 吉田は2018年のロシアワールドカップ後に日本代表キャプテンの役割をMF長谷部誠から引き継いだ。そして、森保ジャパンを先頭に立って引っ張り、カタールワールドカップ出場権獲得に挑んでいる。

 長友はそんな盟友に「僕らの世代は麻也のことを理解しているので、ずっと仲良く、いい仲間できているんですけど、新しく入った後輩の若い選手たちも麻也のこと慕っているので、そういう姿を見ても、彼のユーモアさだったり、人を笑わせるコミュニケーション能力も含めてズバ抜けているなと感じます」と全幅の信頼を置いている。

 チーム内でのリーダーシップに長けるのみならず、メディアなどとのコミュニケーションでも類稀な力を発揮している。もちろんピッチ上でのパフォーマンスの安定感も抜群で、今の日本代表は吉田なしでは語れない。

「まだイタリアのカルチョの世界で戦っているのは選手としては相当すごいこと。イタリアではメンタル的にも強くないとやれないので、そういった意味でもすごい選手だなって感じますね」

 インテルで長くプレーした長友が手放しで称賛するのだから間違いない。吉田は純粋に実力でサムライブルーにおける立場を10年以上にわたって維持し続けている。日本代表通算出場数で現在は7位につけており、114試合の長谷部や119試合のFW岡崎慎司を抜くのは時間の問題だ。

 そして、その先では“アジアの壁”と呼ばれた井原正巳氏の「122試合」も視界に入ってくるだろう。早ければ2022年中にレジェンドDFの偉大な記録をも超え、歴代3位に躍り出る。ちなみに日本代表通算出場試合数歴代2位は長友の「130試合」で、今も歩みを止めず記録を積み重ね続けている。

 吉田本人は、自らの記録について「(A代表通算)100試合を超えた時に、やっぱりセンターバックなので、次は中澤さん、その後に井原さんを超えていきたいなと思っていました」と語る。

 ただ、満足はしていないという。「中澤さんが110試合ですか。で、中澤さんが100試合を超えた時に16点取っているのかな。僕は11点しか取ってないので、得点でも追いつけるかなと思っていましたけど、追いつけなかったですね」と笑った。

「中澤さんと東京五輪前にテレビの企画でお話しさせていただいた時に、『目標にしているし、今でも見えない影を追いかけています』という話をして、今も変わらないんですけど。個人的には今も毎日うまくなりたいと思っているし、昨日よりもいい選手になりたいという思いがある。その情熱がある限り、成長していけると思っています」

 カタールワールドカップのアジア最終予選突破には吉田の力が不可欠だ。「数字にあまりこだわらず、もっともっとよりいい選手になっていきたいというメンタリティ、心の持ち方が非常に大事だなと思っています」と語る彼の考え方は、共にワールドカップ予選を戦う後輩たちの成長にも大きな影響を及ぼすだろう。

「もちろん歳も歳になってきているので、1試合で評価がガラッと変わるようになっているし、1試合悪かったらどうしても年齢のせいにされる。それは最近のメディアを見ていると長友選手や大迫(勇也)選手とかも同じ気持ちかなと思いますけど、僕らはやっぱりそれに対して見返してやりたいという強い気持ちで挑もうと思っているし、その先には井原さんも見えてくるんじゃないのかなと思っています」

 どの国でもA代表での通算出場が100試合を超えている選手は多くない。10年近くほぼ休みなく代表戦に出場し続けなければ達成できない記録でもある。日本サッカー史に名を刻むであろう偉大なセンターバックは、自身3度目となるワールドカップ出場権獲得に挑む。

 日本代表は日本時間17日1時から、必勝を期してオマーン代表とのアウェイゲームに臨む。『DAZN』にて生配信されるこの試合は、カタールワールドカップ出場に向けて望みをつなぐために重要な一戦だ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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