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守田英正が徹底した「自分たちがやられて嫌なこと」とは? サッカー日本代表のサウジアラビア戦勝利に大貢献【W杯アジア最終予選】

text by 編集部 photo by Getty Images

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守田英正
【写真:Getty Images】



 サッカー日本代表は1日、カタールワールドカップのアジア最終予選でサウジアラビア代表に2-0の勝利を収めた。

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 ゴールやアシストの記録には残っていないが、強烈に印象に残るパフォーマンスを披露していたのはMF守田英正だ。これまで通り4-3-3のインサイドハーフで先発出場すると、冷静沈着なゲームメイクとタフなディフェンスで中盤を支配した。

 昨年10月のオーストラリア代表戦で4-3-3が導入されてから、守田の存在感は試合を重ねるごとに大きくなっている。だが、「前線の選手と遠くならないように、前に厚みをかけるところは以前よりできていると思います」と手応えを感じつつ、まだ自分の活躍に満足できていないようだ。

「自分が8番のポジションを任されるにあたり、守備の特徴が強いので、そこを求められているのは前提で考えていましたけど、やっぱり攻撃にアクセントは足りないので、数試合前から自分でも反省していました。

あとは自分がポジションを取りたいところが味方とかぶったり、味方のカラーを出してあげられないポジションを自分が取ってたいことがあって。それによってチームがあまり機能しなかった反省があったので、今回の活動ではそういうポジショニング、自分が取りたいところと、味方に取らせてあげるように自分がポジションを取るところを使い分けが少しできたかなと思っています」

 サウジアラビア戦の試合開始時は左インサイドハーフだった守田は、前半のうちにMF田中碧と左右を入れ替えた。先月27日の中国代表戦でも同様に試合中のポジションチェンジで相手を惑わせたが、しっかりと狙いを持ったポジションチェンジだったという。

 守田は右の高い位置で攻撃に比重を置き、右サイドのMF伊東純也が気持ちよく1対1を仕掛けられるようサポートする。そして、田中は少し下がり目でディフェンスラインからボールを引き出しつつ、左サイドバックのDF長友佑都の攻め上がりを促す。中盤のポジショニングには両サイドを活性化する意図があった。

「どちらかというと(田中)碧の方が下りたり、相手を正面に立たせた上でのビルドアップがうまいですし、相手の足を止めてからボールを逃がすような作業するのうまいので、自分はできるだけ下りきらずに、純也くんが(右サイドに)張っていますし、(中盤)3人の中ではちょっと高い位置を意識してやっていました。

最初、左の時は(長友)佑都さんを前に出したかったし、(左ウィングの南野)拓実くんを中に入らせてあげたかったので、うまくタイミングを見計らって下がろうと思ったんですけど、自分がちょっとタイミングが掴めていなかったのか、うまくいかなかったので、碧に言って左に変わってもらいました」

 相手の出方を見ながら、いかに自分たちの強みを発揮できるよう演出するかが腕の見せどころ。守田は試合中も常に相手の動きを見極めて動くように意識している。先月27日の中国戦の前にも「僕たちは奪った後のことを考えながら守備をしているので、そこのイメージの共有は少なからずできていると思います」と、中盤の意思統一について手応えを口にしていた。

 そしてサウジアラビア戦では相手の特徴を分析した上で、「相手の嫌がること」を徹底して狙えていたと守田は語る。

「練習からポケット(ペナルティエリアの角周辺)を意識して、そこを取ってからのクロスをチームで共有していたので、そこを狙う意識は元々ありました。中国戦の先制点もそこ(ポケット)から生まれましたし、そこを突くことができれば相手(サウジアラビア代表)がすごく嫌がっていたのはわかっていました」

「別にそこまで意識はしていなかったですけど、やっぱり自分たちがやられて嫌なことをするべきなので、そういう意味ではうまくそこを突けてよかったんじゃないかなと。(伊東)純也くんはスピードもあって、(ペナルティエリアの)角を取るのがうまいので、そこで1対1をさせてあげるのが自分たちの狙いでもありましたし、相手はすごい嫌がっていたのもわかっていました」

 相手を見てサッカーをするという基本を徹底できているからこそチームとして結果が出ている。日本代表としても、自陣ペナルティエリアの角やセンターバックとサイドバックの間にボールを出されると難しい対応を強いられる。

 だからこそ守田は相手の急所である「ポケット」を突いて攻撃でも違いを生み出す存在になるべく、「ゴールとかアシストという数字が求められるポジション」のインサイドハーフの役割と向き合っている。

「インサイドハーフを完璧にこなせている自覚はないですけど、よりよく自分を成長させて、そこでできる自信も持っておきたいですし、さらに選手として価値を高めていきたい。そこ(インサイドハーフでの起用)に対して全く悲観的には捉えていなくて、前向きに捉えています。これからの自分自身に期待していますし、今はすごく前向きに取り組めていると思っています」

 いまや遠藤航、田中、守田の3人は日本代表の中盤で替えの効かない存在になりつつある。守田には「3人の関係性は日を追うごとによくなっている」という手応えもある。3月のオーストラリア代表戦でカタールワールドカップ出場を決めるためにも、中盤トリオの大車輪の活躍が不可欠だ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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