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三笘薫は「攻撃の切り札」ではなかった? サッカー日本代表で大躍動、森保一監督が明かす途中起用の意図【W杯アジア最終予選】

text by 編集部 photo by Getty Images

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【写真:Getty Images】



森保一監督が明かす三笘薫起用の意図とは?

【日本 2-0 オーストラリア カタールW杯アジア最終予選】

 サッカー日本代表は24日、カタールワールドカップアジア最終予選のオーストラリア代表戦に2-0で勝利を収めた。そして、1試合を残して悲願のワールドカップ出場権獲得を成し遂げた。



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 勝利を呼び込んだのは、途中出場のMF三笘薫が奪った2得点だった。膠着した終盤にピッチへと送り出された左ウィングは、89分と後半アディショナルタイムの94分にゴールネットを揺らして日本代表に歓喜の瞬間をもたらした。

 慎重にタイミングを見計らっていたに違いない。前半は真正面からの殴り合い、後半はやや落ち着いたが、途中から全体が間延びして理想的な展開にはならなかった。オーストラリア代表は勝たなければ自動でワールドカップ出場権を獲得できる2位以内が見えてこないとあって、時間経過とともに前へ出てくることが予想される中で、どのようにゲームをコントロールしていくか森保一監督も様々なシナリオを想定していた。

 そして、最終的には交代カードによって「勝ちにいく」というメッセージをピッチ上の選手たちに伝えた。63分にDF中山雄太とFW上田綺世を投入。その後はしばらく推移を見守り、84分に満を持してMF原口元気とMF三笘薫を送り出した。

 これが森保監督の信念だった。アディショナルタイムを含めなければ残りおよそ5分というタイミングで、引き分けでも29日のベトナム代表戦にワールドカップ出場決定の可能性を残せる状況でも勝利を追い求めることをやめなかった。

 一方で、最後までゴールに迫る姿勢を見せつつ、敗戦を避けるよう試合を締めるための三笘投入でもあったという。森保監督は次のように明かす。

「三笘に関して、みなさん攻撃の切り札と思われているかもしれないですけど、彼はベルギーで攻撃力も上げていると思いますが、攻守ともにチームに貢献できるところを川崎フロンターレでも培いながら、今ベルギーで守備も非常にレベルアップしている。

今日に関しては、このまま無失点でいきながら、彼の攻撃力で得点のチャンスが生まれるのではないのかということで起用しました。加えて、東京五輪で(上田)綺世と三笘の関係は非常によかったので、たくさんのことを含めながら起用しました」

 ベルギーでは3-5-2の左ウィングバックとしてプレーすることの多い三笘は、試行錯誤しながら「自分にできることが増えた」と感じていたところ。緻密なスカウティングで守備力に関しても信頼が置けると判断していた森保監督は、失点のリスクを減らすことも考えながら三笘に最後のひと仕事を託した。

 終盤の戦い方に関して、すでにピッチに立っていた選手たちも十分に理解しながら戦っていた。中盤アンカーでチームのへそを担うMF遠藤航は「最後の方は引き分けでも別に問題ないというようなイメージで僕はプレーしていたので、後ろの選手はある程度、落ち着いてやっていた」と振り返る。

 指揮官の選手に対する信頼、そして選手たちのチームメイトや監督に対する信頼、それらが全て噛み合って、最終的に三笘の2得点として結実した。2018年のロシアワールドカップの決勝トーナメント1回戦で、ベルギー代表に2点リードしてベスト8進出に近づきながら終盤に逆転された苦い経験も生きているのだろう。

 固い信頼によって結ばれたチーム全員の意思が1つとなり、日本代表はカタールワールドカップ出場権を手にすることができたのである。

(取材:元川悦子、文・構成:編集部)

【了】

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