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日本代表 2年前

サッカー日本代表の「自作自演」はW杯本大会で致命傷になりかねない。三笘薫投入でようやく表れた「4-3-3本来の強み」とは?【分析コラム後編】

text by 龍岡歩

三笘薫投入により生まれた「4-3-3本来の強み」

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【画像:TACTICALista】



 だが相変わらず左サイドは前線で幅を取る選手がいない。仕方なく田中碧が流れて幅を取るシーンもあった。日本代表の攻撃はもっぱら右サイドからの片翼飛行だが、それでもチャンスは作り出せていた。この試合、多くの決定機を迎えてシュートを放った南野だが、裏を返せば日本の攻撃は右から崩して左がフィニッシュというワンパターンに陥っていた証左でもある。

 そして迎えた84分、満を持しての三笘薫投入である。日本はこの交代により右は伊東、左は三笘の左右両サイドで幅を取れるようになり、4-3-3本来の配置の強みが鮮やかにピッチに描かれた。

 日本代表の1点目は山根と伊東と守田が右サイドでトライアングルを形勢し、ニアゾーンへ侵入した見事な崩しから。このゴールはSBの山根から守田に浮き球のパスが出た瞬間、逆サイドで待っていた三笘の動き出しが秀逸だった。誰よりも早くマイナスのクロスに備えて弧を描くようにゴール前へ。山根、守田、三笘の元川崎トリオが一つの画を共有したことによる見事な合作であった。

 2点目は左サイドで作った中山、三笘、遠藤のトライアングルから。三笘が大外で幅を取ったのを見たSB中山はハーフスペースの内側を斜めに抜けるランニングでオーストラリア代表のDFを中へと引き付ける。これにより大外で1対1となった三笘が縦に突破し、遅れてカバーリングに入ったDFの動きを利用して2タッチ目で中へとカットインに成功。そのままペナルティエリア内へと侵入し、見事なゴールを決めてみせた。

 勿論、三笘のドリブル技術は素晴らしいの一言だが、そのお膳立てをしたSB中山のダイアゴナルランも見逃すべきではないだろう。前半の日本代表にはなかった左サイドの連係である。

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