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レアル・マドリードの強さとは一体何なのか。凄まじいレジリエンス、マンCに圧倒されながらも繋いだ希望【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

マドリーを苦しめたシティの意識と走力



 また、マドリーはビルドアップの面でも苦しんだ。

 4-3-3での組み立てを狙うマドリーに対し、シティはオーソドックスな4-4-2の形で対応してきた。ジェズスとデ・ブルイネがアンカーのクロースへのパスコースを切りながらセンターバックにプレッシャーを与えることで外へ追い込み、そこから再び縦を切って逃げ道を完全になくす。これを徹底して行っていた。

 マドリーはシティの狙いにかなり苦労した。CBのエデル・ミリトンとダビド・アラバ、また途中から入ったナチョ・フェルナンデスが相手から逃げるような体勢でボールを持つことが多く、前線に蹴らされてしまう場面が散見。セカンドボールもことごとく拾われた。またオープンな展開になった後半はまずまずだったが、前半はとくにクロースの良さが全くといいほど表れていなかった。

 53分に起きた3失点目は、組み立てのミスが原因だった。

 左サイドのフェルラン・メンディにボールが渡った時、すでにパスコースは縦のヴィニシウス・ジュニオールしかなかった。メンディはそこにパスをつけたが、フェルナンジーニョの準備が完璧で、カットされる。そこからショートカウンターを浴びると、最後はダニエル・カルバハルの絞りが間に合わず、ファーサイドでフィル・フォーデンにヘディングゴールを許してしまった。

 マドリーにとって脅威だったのは、シティがボール支配率を高めるために、上記のことを最後まで強度をガクンと落とさずやったこと。この試合の総走行距離はマドリーの114.64kmに対しシティは122.75kmだった。マドリーのイレブンたちは、改めてシティのボール奪回への意識の高さ、そして走力に驚かされたのではないだろうか。

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