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サッカー日本代表、長友佑都は「世界で戦う上で必要」。右SBでヴィニシウス封殺、「相手が強ければ強いほど力を発揮できる」【キリンチャレンジカップ2022】

text by 編集部 photo by Getty Images

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長友佑都
【写真:Getty Images】



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【日本 0-1 ブラジル キリンチャレンジカップ2022】

 キリンチャレンジカップ2022が6日に行われ、サッカー日本代表はブラジル代表に0-1で敗れた。



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 この試合での大きなトピックの1つは、DF長友佑都の右サイドバック起用だろう。これまで長きにわたって左サイドバックとして君臨してきたベテランは、利き足と同じ右のサイドで獅子奮迅の活躍を披露した。

 対面したのはレアル・マドリーでUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝にも大きく貢献したFWヴィニシウス・ジュニオールだった。長友自身も「バロンドールを獲ってもおかしくないくらいの選手」と絶賛していたワールドクラスのドリブラーを封殺。63分に相手が交代するまで、ほとんど何もさせなかった。また、タイミングのいい攻め上がりでウィングをサポートするなど豊富な運動量で上下動を続け、攻撃でも持ち味を発揮した。

「僕は相手が強ければ強いほど力を発揮できると言ってきましたけど、その言葉が本当なのか嘘なのかと自分自身を追い込んだ部分もあります。今日がダメなら代表でもワールドカップのレベルでは厳しいなと、それくらいの強い気持ちで臨みました。

そういう意味ではヴィニシウスに1対1でやらせない部分、守備の強度は自分自身は見せられたんじゃないかなと。もちろん、味方のたくさんのサポートがあったからこそ止められたというのもありますけど、まだまだ自分はやれるなと感じさせてくれた試合でした」

 日本代表を率いる森保一監督も「我々の戦いの中でまた1つオプションが増えた。強い相手になればなるほど、彼がこれまで経験してきたものが試合で出ていたと思います」と長友のパフォーマンスを称賛した。

 今回の合宿が始まる前、長友はこれまで通りに左サイドバックで起用される予定だった。しかし、DF酒井宏樹が負傷により招集から外れ、オランダから遅れて合流したDF菅原由勢も負傷を抱えていた(その後、途中離脱に)。

 また、DF山根視来は川崎フロンターレで出ずっぱりの状況が続いており、パフォーマンスレベルの低下によって勤続疲労が指摘されている状況。こうした複数の要因が絡み合ったうえ、合宿2日目の練習で右サイドに入ったこともあって、長友の右サイドバック起用が徐々に現実味を帯びてきていた。

 そして、山根は2日のパラグアイ代表戦に先発フル出場。中3日で迎えるブラジル代表との大一番では、やはり長友が右サイドバックを任されることになった。

 森保監督は「ヴィニシウスに対しても互角に戦っていたと思います。世界トップのチームでこれまで経験してきた彼の力、レベルが上がった国際大会の時に世界で戦ううえで必要な要素をプレーをもって見せてくれていると思います」と語る。

 カタールワールドカップアジア最終予選では左サイドバックに入った長友のパフォーマンス低下を指摘する声が多方面から挙がっていた。一方で、現在の日本代表に左右両サイドバックを高いレベルでこなせる選手はいない。

 所属するFC東京でも今季は右サイドバック起用が増えている長友は、日本代表でも右サイドに入り、これまでと違う形で改めて存在価値を証明したと言えるだろう。短期決戦で登録人数も限られる大会を戦っていくにあたって、複数のポジションを柔軟にこなせることは選手個人のみならずチームの武器にもなる。

「自分自身、右も左もできると自信を持っていました。けど、レギュラー争いでは左も右も、すごくいい選手がたくさんいる。僕の中では毎回、生きるか死ぬかの戦いですけど、今日は特に自分が守備をできなかったり、1対1で負けていたりしていると、世界では通用しないなと。僕は終わりだなという気持ちでやっていました」

 両サイドバックに対応できる強みを発揮し、日本代表に必要な存在だと内外に印象づけた長友の不屈の精神は、他のポジションの競争にもポジティブな影響をもたらすに違いない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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