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久保建英「部屋でいろいろ考えた」。サッカー日本代表初ゴールまで苦節3年「たかが1点で喜ばず、ここからがスタート」【キリンカップサッカー2022】

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

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久保建英
【写真:田中伸弥】



久保建英、待望の日本代表初ゴール!

【日本 4-1 ガーナ キリンカップサッカー2022】

 キリンカップサッカー2022の第1戦が10日に行われ、サッカー日本代表はガーナ代表に4-1で勝利を収めた。



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 日本が2点リードしていた73分、ついにその時が訪れた。ドリブルで左サイドを破ったMF三笘薫の折り返しに合わせたのはMF久保建英だった。ぽっかりと空いたスペースに走り込み、左足シュートでゴールネットを揺らす。日本代表デビューから苦節3年、A代表通算17試合目で待望の初ゴールを挙げた。

「長かったですね、もうこのまま一生入らないんじゃないかなと思う時もありました」

 試合終了直後のフラッシュインタビューで安堵感を漂わせていた久保は、その時の心境を問われると「結構冷静だったと思います。たまたま点が入っただけなので、いつも通りのインタビューをしようと心がけていました」と答えた。

「たかが1点で喜ばず、嬉しいですけど、これからがスタートだと思っているので、しっかり引き締めて残りの試合を頑張っていきたいというのを、ファン・サポーターの皆さんに感じてもらえたらなというところまで考える余裕があった感じです」

 冷静だったと口では言うが、内心は喜びにあふれていたはず。日本代表デビューから約3年にわたってゴールがなく、「周りの選手が簡単なゴールを決めていくたびに『自分がそこにいたらよかったな』とか、僕のシュートがブロックされるたびに『何で僕のはブロックされるんだろう』と思ったり。こと代表では『いつもなら』で入らないことが多かった」と、久保は焦りを感じていた。

 21歳の誕生日を迎えて初めての試合となった6日のブラジル代表戦も出番なしに終わり、「正直、めちゃくちゃきつかった。何で出してくれないんだよと思っていました。僕だけではないと思うけど、僕が出たらもっとやれていたと思う」と悔しさを噛み締めていた。

 だが、「試合に出ていない僕が言ったところで負け惜しみ」である。その悔しさをバネに気持ちを入れ替えてトレーニングに励み、先発出場のチャンスを得たガーナ戦で結果を残した。久保は「練習から自分はやれることをやっていこうと、気合いも入っていたと思います。そういうところで運も味方してくれたのかな」と語った。

「21歳になった時に部屋でいろいろなことを考えて、その結果いろいろ吹っ切れた。そこから練習でも見違えるように、自分の中でもプレーが軽くなったと思います。そういった意味でも今日も軽くプレーできていました。自分の中では21歳になって、いい方向に変わったかなと思います」

 自分だけでは扱いきれないほどの大きな期待と、それにともなう重圧も感じていただろう。そういった重荷を全て取っ払い、目の前のやるべきことだけにフォーカスしたことで吹っ切れた。相手選手に削られたことによる痛みにも耐えて、90分間走りきった。

「インサイドハーフで結果を残し、内容も悪くなかったと思います。自分の特徴を出しやすい面もありつつ、守備の面でもファウルが多かったですけど、潰すところは潰して、カウンターを自分のところからさせないという自己評価もありました。

途中で足を痛めて本当に交代するか悩みましたけど、『ここで代わったら(次は)ないな』と思って、最後に点を取った瞬間も、痛くてもう一度考えましたけど、90分できた。90分やり切ったところも嬉しかったし、痛いながらもそれがゴールにつながってよかったです」

 日本代表は初ゴールによって生まれ変わった21歳の久保建英が、これからどんな躍動を見せてくれるか楽しみだ。

(取材・文:舩木渉)

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