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日本代表 2年前

サッカー日本代表にミラクルは期待できない。その理由は? 吉田麻也や遠藤航に依存した代償、ロシアW杯や南アW杯との違い【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka, Getty Images

過去のようなミラクルが期待できない理由



「今日もチャンスになっているシーンは奪ってからのカウンターだった。ブラジル戦もそう。いい守備からいい攻撃っていうのは相手が格上になるほどそういう戦いになる。ただ、うまく行っていない時間帯はハイプレスからロープレスに変えるとか、チームとしてもっとうまく変えられると思う。W杯のような大きな大会は失点することが一番ダメ。僕らが失点ゼロで長い時間プレーできればできるほどカウンターのスペースが空いてくる」

 鎌田がこうコメントした通り、ショートカウンターに望みを託すのであれば、もっと精度を高め、フィニッシュに持ち込む鋭さと迫力をチームとして身に着けるしかない。普通にサイドからクロスを入れても、W杯出場国の守備陣は崩れない。チュニジア代表のように高さのある最終ラインであれば、空中戦でもそうそう勝てない。リスタートもなかなかチャンスに結びつかないだろう。

 ゆえに、彼が指摘した通り、カウンターを磨くことは有効な手だてかもしれない。三笘も指摘したように、チームとしてもっと細かい部分を詰めて、サイドと中央の使い方を明確にしておくことも肝要ではないか。

 ただ、その作業が次の9月の国際Aマッチデーまでできないのは頭が痛い。しかも11月の直前合宿もほとんどない。16強入りした2010年南アフリカ、2018年ロシアの時のように直前の戦術変更で結果を出すようなミラクルは期待できないということになる。

 森保監督はここから時間との戦いを強いられるが、今は数多くの問題点が出たことを前向きに捉えるしかない。日本代表の現在地を痛感させられたチュニジア戦をどう今後に生かすのか。そこにフォーカスするしかないのだ。

 いずれにせよ、伊東と三笘のサイド攻撃一辺倒では点が取れない。その現実を直視しなければ何も変わらない。世界にも通じる彼らの打開力を生かしつつ、ゴール前の迫力やバリエーションを増す術を早急に見出すこと。それを強く求めたいものである。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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