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Jリーグ 2年前

「J2降格の筆頭株」の柏レイソルはなぜ4位にいるのか? 下馬評を覆した地道なプランと戦術の生命線を担う3人【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

先制されてもブレない柏レイソル



 国際Aマッチデー(IMD)明けのこの日、柏はU-21日本代表としてAFC U-23アジアカップに出場している細谷真央と佐々木雅士という重要戦力を欠いた。そこで指揮官は筑波大在学中で今季からプロ契約した森海渡とJ1デビューの松本健太をスタメンに抜擢してアンドレス・イニエスタらを擁するタレント軍団を迎え撃った。

「柏はやりにくい相手。中断期間に準備と対策はした」と話していた神戸のロティーナ監督が打って出たのは5-4-1への布陣変更だった。「柏の中央に差し込むパスを3センターバック(CB)で消す」という狙いがあったようだが、重心が後ろに下がり、ボール支配率が低下。柏の攻撃を受ける展開になってしまった。

 そんな神戸に助けられ、柏は押し込む形が増えていく。マテウス・サヴィオが強引にフィニッシュに持ち込む場面もあり、まずまずのペースの序盤だった。しかし、神戸には一瞬で違いを作れる名手・イニエスタがいる。前半28分には絶妙のワンタッチから守備陣の背後にボールを通され、酒井高徳から橋本拳人へと渡り、豪快な一撃を食らう。まさかのリードを許す形を余儀なくされたのだ。

 それでも柏はブレることはなかった。失点から10分後の38分、中盤の底で奮闘する椎橋慧也のミドルがさく裂して1-1の同点に追いつくと、前半42分には神戸の決定的ミスを誘った。

 発端は左CB古賀太陽の縦パスだ。サイドに開いた小屋松知哉が受け、三丸拡へ展開。そこからペナルティエリア外にいた戸嶋祥郎へリターンし、ゴール前へ飛び出した小屋松へのスルーパスが通ったと思われた。これを山川哲史がクリア。再び戸嶋が詰めたところに菊池流帆がスライディングに行った瞬間、ホイッスルが鳴り響いた。オンフィールドレビューの結果、エリア内のファウルと見なされ、柏にPKが与えられる。マテウス・サヴィオが確実に決めきり、前半のうちに逆転に成功したのだ。

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