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古橋亨梧は「どこに立てばいいかを理解している」。スコットランド1年目で得た「強みが通用している感覚」【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

まさかの長期離脱を経て…

古橋亨梧
【写真:Getty Images】



 周囲の選手たちとも良好な関係を築き、全員がまず古橋の動き出しを見てパスを出してくれる。そんな最高の環境が出来上がっていた矢先である。好事魔多しと言うべきか。絶好調の日本代表ストライカーは昨年12月9日に行われたELグループステージ第6節のベティス戦で右ハムストリングを痛めてしまう。

 当初は重傷と診断されず、何とか同月19日のプレミアスポーツ・カップ(リーグカップ)決勝に合わせて復帰。ハイバーニアンとの一戦で2得点を挙げて、セルティックをタイトル獲得に導いた。古橋自身にとっても欧州で初めてのタイトルだったが、ここで無理をしたことが祟ったのか、同月26日のリーグ第20節セント・ジョンストン戦で再び同じ箇所を痛めてしまう。

 結局、右ハムストリングの負傷から完全復帰できたのは4月上旬のこと。約3ヶ月半もの長期にわたった戦線離脱を経て、奇しくも負傷時と同じセント・ジョンストン戦で復帰を果たした。

「1日でも早くピッチに帰ってプレーしたい、ゴールを決めたいという気持ちでいました」

 長期のリハビリに取り組む間に、日本代表はアジア最終予選を突破してカタールワールドカップ本大会出場を決めていた。セルティックもレギュラーシーズン首位で上位6クラブによる優勝決定プレーオフ進出が確定済み。だが、そんな遅れを物ともせず、古橋はゴールを決め続けた。

 周囲からの信頼も一切失われていなかった。冬に加入したMFマット・オライリーも地元メディアに「キョウゴの動きのシャープさは、これまでに見たことがないものだった。そして、彼は常に自分がどこに立っていればいいかを理解している」と感嘆するほど。復帰後も負傷前と変わらずボールが集まり、古橋はプレーオフの5試合で4得点を奪って見せた。

 復活弾を決めたリーグ戦プレーオフ第1節のロス・カウンティ戦後には、ポステコグルー監督も「みんながキョウゴのことを恋しがっていた。彼はちょっとした魔法みたいなものを持っている。ゴールは彼が復帰するために一生懸命努力してきたことへの報いだ」と称賛。プレーオフも含めて古橋のリーグ戦最終成績は20試合に出場して12得点だった。

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