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中島翔哉は「期待ハズレ」だったのか? ドリブルが蘇った復活の1年、ポルトガルでの未来は?【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

わずか1得点。中島翔哉のスタッツはどう変わった?



 では、目に見える「結果」以外のところで実際のパフォーマンスはどうだったのだろうか。サッカーにまつわる様々なデータを収集している『Footmob』を参照しながら、ポルティモネンセで10得点10アシストを記録した2017/18シーズンと今季のスタッツを比較してみたい。

▽2021/22シーズン
得点:1
アシスト:2
出場時間:1766分(22試合、うち先発20試合)
キーパス:37本
チャンス創出:39回
枠内シュート率:49%(17本)
ドリブル成功率:52%(34回)
パス成功率:78%(369本)
クロス成功率:31%(18本)

▽2017/18シーズン
得点:10
アシスト:10
出場時間:2493分(29試合、うち先発29試合)
キーパス:73本
チャンス創出:83回
枠内シュート率:51%(33本)
ドリブル成功率:51%(29回)
パス成功率:78%(601本)
クロス成功率:24%(29本)

 こうして見てみると、各種プレーを「率」にした時の数値はほとんど変わっていないが、「回数」や「本数」の実数が大きく減少している。例えば枠内シュートは「率」だと2%差だが、「本数」だと16本も違う。

 2017/18シーズンに比べてプレー時間が約3分の2になっていることは差し引いて考えたとしても、実数が約50%減となれば「減っている」と言っていいだろう。リーグ最終節のマリティモ戦ではクロスバー直撃のミドルシュートを放ち、決勝点も演出するなど存在感を見せたが、そうした活躍はシーズンを通してみると散発的だった。

 唯一、「回数」が増えているのはドリブルだ。やはり中島と言えば重心の低いキュンキュンのドリブル突破を思い浮かべるファンが多いだろう。確かに大怪我から復帰後、かつてと変わらないようなドリブルが蘇り、ボールを持ったら積極的に仕掛けていく姿勢も見られた。

 しかし、出場時間あたりのドリブル回数が増えたということは、裏を返せば「ドリブルせざるをえなかった」シチュエーションが多かったとも捉えられる。実際、今季のポルティモネンセでは選手間の距離が遠くなる試合が多く、中島がトップ下のスペースでボールを受けても味方のサポートがないまま複数のディフェンスに囲まれて潰されるシーンは幾度となくあった。

 いくらドリブルで相手の守備網を突破しようとする回数が増えても、次の選択肢を探している間に潰されてボールを奪われる。キーパス数やチャンス創出数が大きく減少しているのも、サポート不足と無関係ではないだろう。

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