中島翔哉、来季の所属先は…
むしろファブリシオをはじめとした他のアタッカーたちのパフォーマンスがよければ、中島のゴール数やアシスト数はもっと増えていたはずだ。個人スタッツの「率」があまり変わっていないのだから、「回数」が増えれば、1つひとつの質も向上していたに違いない。
復帰まで8ヶ月も要する大怪我を経験したら、元どおりのパフォーマンスに戻すだけでもかなりの時間と努力を要するのは明白。それでも中島は完全復活に着実に近づいている。だからこそ、このタイミングでどんな将来を選ぶかは非常に重要だ。
現在、中島と所属元であるポルトとの間で結ばれた2024年夏まで残っている。だが、ポルトでは構想外となっており、ポルティモネンセは来季に向けて期限付き移籍の延長を望んでいると現地メディアで報じられているところだ。
確かにポルトで再びチャンスをつかむのは厳しいだろう。コロナ禍が始まった2019/20シーズン終盤にチームへ戻ることを拒んで物議を醸していた中島には、2020/21シーズン前半戦でUEFAチャンピオンズリーグ(CL)などにも出場するチャンスが与えられていた。ところが期待には応えられず、アル・アインやポルティモネンセへ貸し出されることになったのである。
セルジオ・コンセイソン監督は男気あふれる指導者として知られる。今季リーグ最終節でも、それまで一度もピッチに立っていなかった選手たちに、優勝メダルを受け取る権利を与えるためピッチに立つ機会を作った。
だが、中島に「3度目」はないというのが大方の見解だ。ポルトは今夏、構想から外れている期限付き移籍中の選手たちを整理して財政的な負担を減らすことを目指しており、かつて10番を背負った日本人アタッカーも人員整理の対象になると見られている。
具体的にはブラガからポルトガル代表DFダヴィド・カルモを獲得する際、金銭とともに交換要員として中島を差し出す準備を進めているという。もしブラガ移籍が決まれば、来季はUEFAヨーロッパリーグ(EL)に出場するチャンスがある。
笑顔を取り戻した中島は、万全の状態を取り戻しつつある現状でどんな将来を選択するだろうか。メディアに「今季最大のがっかり選手」候補に挙げられたとはいえ、依然としてポルトガル国内では個人レベルで一定以上の評価を獲得している。もちろん復帰途上だった昨年夏より可能性は大きく広がっている。
(文:舩木渉)
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