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だから遠藤航をキャプテンに選んだ。ドイツ語を話せない主将はなぜ絶対的な信頼を得たのか?【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

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 数多くの激闘が繰り広げられた2021/22シーズンが幕を閉じた。欧州各国でプレーする日本人選手たちは、果たしてどのような活躍を見せたのだろうか。今回は、ドイツのシュトゥットガルトに所属する遠藤航のシーズンを振り返る。(取材・文:舩木渉)



運命を変えた1本の電話

遠藤航
【写真:Getty Images】

 東京五輪のグループステージ初戦、南アフリカ代表との試合が終わった後、遠藤航に1本の電話がかかってきた。

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「時間あるか?」

 電話の主はシュトゥットガルトのペレグリーノ・マタラッツォ監督だった。大事な五輪期間中だったが、所属クラブの指揮官からの電話だ。遠藤はそのまま話を聞いた。

「お前をキャプテンにしようと思っている」

 いきなり大役を任された。どうやらキャンプ中にチームメイトたちの総意もあって、新キャプテンに選ばれたらしい。遠藤は「やりたい」と、マタラッツォ監督からの要請を受諾した。

 ブンデスリーガ1部クラブで日本人選手がチームキャプテンを任されるのは、ハンブルガーSV時代の酒井高徳に次いで2人目。ドイツ人でもドイツ語話者でも年長者でもない遠藤は、在籍3年目で名門のチームリーダーとして認められた。

「我々はキャプテンに全員をまとめることを求め、重視しているが、ワタルは他の選手のために責任を負える選手だ」とマタラッツォ監督からの信頼は厚く、チームメイトたちからも慕われる存在になっていた。

 遠藤は東京五輪で全6試合に出場してドイツに戻り、休むことなく昨年8月14日のブンデスリーガ開幕戦に出場。そこからクラブではリーグ戦33試合、カップ戦1試合に出場した。さらに日本代表のすべての活動に参加し、絶対的な中心選手として14試合に出場。東京五輪直前にU-24日本代表の一員として戦った国際親善試合も含めれば、21/22シーズンは公式戦56試合に出場したことになる。

 20/21シーズンから東京五輪にかけてもほとんど休みなくプレーし続けたことを考えると、2年間で100試合近く出場してきたことになる。大きな怪我もなくこれだけの試合をこなせるとは、恐るべき鉄人ぶりだ。この頑強さがクラブでも日本代表でも監督から全幅の信頼を寄せられる所以だろう。

 これだけの試合に出続けるのだから、当然プレーの安定感もずば抜けていた。ブンデスリーガでは1対1で448回勝利し、2年連続のデュエル王に。シュトゥットガルトの中盤で不動の地位を築いた。

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