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バルセロナの攻撃はまるで“無間地獄”。新エースによる「さらなる進化の兆し」とは?【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

シャビ・バルサに見た進化の兆し


【写真:Getty Images】



 それを一言で言うと、“レヴァンドフスキによるチャンスメイク”だ。

 例えば40分の場面では、敵陣中央をドリブルで進んだペドリが、ペナルティアークの手前にいるレヴァンドフスキにパス。ボールを受けとったポーランド代表FWは、トラップから一呼吸おいて、ヒールでボック内にリターンパス。少しタイミングがずれ、ペドリは的確なシュートを打てなかった。しかし、ポーランド代表FWが軸となって決定機を演出したのは事実。この先、欧州屈指の技術を持つ2人のタイミングがあってくれば、敵にとってバルサの攻撃は、さらに脅威が増すはずだ。

 また、51分の場面では、今度は左サイドのペドリからアーク近辺でパスを受けたレヴァンドフスキが、キープから切り返して裏に抜け出すアルバに浮き球のパス。敵のDFに阻まれてアルバはシュートを打てなかったが、40分の場面と同様に、ここでもレヴァンドフスキがボックスの外に出てチャンスを演出した。

 おそらく、スペインの地でも得点を量産し始め、“バイエルンのレヴァンドフスキ”としての自を取り戻したことで、心理的にも余裕が出始めたのかもしれない。もちろんレヴァンドフスキとしては、バルサでもバイエルンのようにやれると思って移籍してきたとは思うが、その自信が確信となった、といったところだろうか。

 今後、ラ・リーガやCLでの対戦相手は、ポーランド代表FWを稀代のフィニッシャーとしてマークすればよいだけはなく、チャンスメイカーとしてもマークしなくてはならなくなったのだ。

 そしてポーランド代表FWが本領を発揮し始めたシャビ・バルサの攻撃は、デンベレやハフィーニャによるサイドアタックだけではなく、レヴァンドフスキを軸とする中央からのコンビネーションも増え、さらに脅威を増すだろう。そのような進化の“兆し”が、このプルゼニ戦では垣間見えた。

 もちろん“依存度”が高くなればなるほど、負傷などで離脱したときのチームへの影響は大きくなる。レヴァンドフスキ不在時のプランも、次第に必要になってくるだろう。それでも現在、バイエルンからやってきた欧州屈指のセンターFWのパフォーマンスは、バルサの2季ぶりのCLグループ突破に向けた視界を、良好なものにしてくれる。

(文:本田千尋)

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