ドイツ代表が行ったある種の「原点回帰」とは? 規律と自由の間を揺れ動く国の伝統【代表プレースタイル図鑑後編】

2022年11月23日(水)11時05分配信

シリーズ:代表プレースタイル図鑑
text by 西部謙司 photo Getty Images
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国や地域ごとにサッカーの歴史があり、その国ならではのプレースタイルが存在することも多い。現在開催されているFIFAワールドカップカタールに出場する32ヶ国+αの「プレースタイル」に焦点を当て、その変遷に迫った『フットボール代表プレースタイル図鑑』が発売中。今回は、サッカー日本代表と対戦するドイツ代表に迫った「規律と自由の間で揺れ動く伝統」から一部を抜粋して前後半に分けて公開する。(文:西部謙司)


【写真:Getty Images】


ドイツ代表が行ったある種の「原点回帰」

 さらに追い風になったのがジョゼップ・グアルディオラのバイエルン監督就任だった。バルセロナを率いて素晴らしい成果を挙げていたグアルディオラ監督は、バイエルンを戦術的に改革、バイエルンの選手たちが中核を担うドイツ代表にも影響を与えた。ちなみに、2010年はバルセロナを中心としたスペイン代表が優勝、14年はバイエルンのドイツ代表が優勝と、グアルディオラが育てた選手たちがワールドカップを連覇したことになる。

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 2006年時点では戦術的に遅れていたドイツだったが、14年には最もモダンなプレーのチームとして磐石の強さでブラジル大会を制して4回目の栄冠を手にすることとなった。

 2018年ロシア大会、連覇を目指したドイツだったがグループステージで敗退している。

 レーヴ監督は留任して世代交代に着手したが、EURO2020のラウンド16でイングランドに敗れて退任。バイエルンの監督だったハンス=ディーター・フリックが新監督となった。

 フリック監督のドイツはバイエルン時代のハイプレスに軸を置く戦術を採用し、ある種の原点回帰が行われている。レーヴ時代はボールポゼッションを重視した戦術のモダナイズが行われて成功もしたのだが、スペイン化したドイツは本来持っていたエネルギーを失ってしまったところもあった。ロングパスを多用する大きな展開や、前線からの強度の高いプレスはブンデスリーガの潮流でもあり、かつてのボルシアMGが体現したアドレナリン型のプレースタイルを思い起こさせる。ポジショナルプレーからの解放なのかもしれない。ポジショナルプレーそのものは残っているが、それにとどまらない激しさを志向している。規律と自由の間で揺れ動くのはドイツの伝統だ。

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定価:2,090円(本体1,900円+税)
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【了】

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