フットボールチャンネル

スペイン代表は「間」を意識して背後を突く。サッカー日本代表が狙うべきポイントは?【後編】

シリーズ:コラム text by 渡邉晋 photo by Getty Images

どう背後を取るのか? 「間」の意識とは?



 ここで注目したい点が背後を取る際のランニングのコースです。基本的には、相手の背中に一度隠れてから相手の間を走る。その動きに相手が対応すれば前に入る。その作業を細かく何度も繰り返しています。

 いわゆる「ライン間」という「間」だけでなく、相手DFラインの「間」(これを私は「レーン」と呼んでいます)を意識して背後を狙っていく。これを続けられると相手のサイドの守備者は中に絞らざるを得なくなるので、最後は「幅」を確保している選手(WGか SB)がフリーになるのです。逆サイドへのインスイングクロスが通るのもこうした構造の元に成立していると考えられます。

 勿論それらを成功に繋げる為のスキルが重要であるのは言うまでもありませんが、もう一つアタッキングサードの攻防でキーになるのが守備への切替、カウンタープレスです。

 今のスペイン代表はこの強度と速さが群を抜いています。相手の11人が人数をかけ、自陣でコンパクトに守るのをこじ開けるのは至難の業です。だからこそ、現代サッカーの主流は「縦に速く」といったものにシフトしている側面もあります。この切替を速くして、いわゆる即時奪回を可能にしてしまえば再びチャンスが訪れます。

 奪い返したその瞬間から「一気に仕留めよう」というプレーは、今ではどこのチームも目指していることでしょう。スペイン代表はまさにそれを体現しているチームです。

 しかし彼らの特徴はもう一つあります。それは、仮にそのショートカウンターが成立しなかったとしても、もう一度攻撃をやり直す。何度も何度もそれを繰り返し、相手を揺さぶる中で得点の機会を窺う。攻撃時の粘り強さや辛抱強さがあり、そこで焦れないメンタリティが備わっているからこそ、真綿で首を締めるかの如く相手を追い込んでいくことが可能になるのです。

 さて、そんなスペイン代表と対峙する日本代表はいかにして戦い、勝ち点を奪いにいくのか。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top