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「何が足りなかったのか」吉田麻也は何を思う。サッカー日本代表での4年5ヶ月【カタールW杯】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

吉田麻也は「明らかに僕を成長させてくれた1人」



 こう苦笑した吉田自身にもハードルを超えるための答えが見つからないのが現状だ。ただ、それを誰かがやっていくしかない。吉田自身は今後ついて問われ、「ゆっくり考えます」とだけ言い残し、明言を避けた。

 代表引退を示唆したという一部報道も出たが、ここで完全に区切りをつけるのか、来年のアジアカップまでキャリアを続行するのか、呼ばれなくなってそのまま終わるのかはまだ分からない。ただ、近い将来、板倉滉や冨安健洋ら20代のDF陣が吉田の取り組みを引き継ぎ、前進する態勢になることは確かだろう。後継者たちにはその自覚を持ってもらわなければ困るのだ。

「(麻也さんは)明らかに僕を成長させてくれた1人の選手。選手としてだけじゃなく、ピッチ外でも、人としてもそうです。本当に感謝していますし、教わったことを実際に表現できなかったという意味では本当に物足りないです」

 失点シーンに絡み、パフォーマンスが不安定だった冨安も反省しきりだった。彼らは今一度、吉田の一挙手一投足や強靭なメンタリティ、卓越したリーダーシップを脳裏に刻みつけ、前を向くべき。それをやってこそ、吉田が努力してきた4年5ヶ月が報われると言える。

 34歳のベテランDFは自分が代表定着する前にチームを離れた中澤佑二、田中マルクス闘莉王という偉大な先輩の亡霊を追いかけていたと明かしたが、ここまでのW杯3大会出場とキャプテンとしての奮闘を見れば、すでに2人を超えたと言っていい。

 吉田が身を持って示したDFとしての矜持、勇敢な姿勢とリーダーシップを我々は今一度、しっかりの脳裏に焼き付けるべき。そのうえで、まだ見ぬ境地を目指し続けていくしかない。

(取材・文:元川悦子【カタール】)

【了】

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