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20歳前後の育成に苦しむ日本サッカーの実情。サッカー日本代表ベスト8への壁【カタールW杯】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by AFC

「今のU-19世代はかなり小粒」



 同大会をチェックしたというシント=トロイデンの立石敬之CEOも「5年前のU-20日本代表だったのが、板倉、堂安、冨安、久保ら今の東京五輪世代。彼らに比べると今のU-19世代はかなり小粒という印象が否めない」とコメントしていた。

 確かに、今季のJリーグでも主力として戦い抜いたのは松木くらいしかいない。多くの選手が出場機会をつかめず苦しんでいる。そんな実情を見ると、立石CEOの見方も頷ける。

 数年前まではFC東京、ガンバ大阪、セレッソ大阪がU-23チームをJ3に参戦させており、そこで揉まれて成長することができていた。堂安も久保もU-23での試合経験を糧に飛躍し、トップでレギュラーをつかみ、海外への挑戦権を得ている。が、そういった環境もなくなり、試合経験の場がなくなれば、若手が伸びるはずがない。

 さらに痛かったのが、今回のカタールW杯のトレーニングパートナー10人の参加が取りやめになったこと。直前のスペイン遠征でコロナのクラスターが発生し、松木や北野、甲田らにとっては世界トップ基準を体感する貴重な機会が失われた。これも大きなダメージになりかねないのだ。

 ここ最近は尚志高校からシュツットガルト入りしたチェイス・アンリ、神村学園高校からボルシアMG入りする福田師王のようなルートも生まれているが、彼らがすぐにトップチームで活躍できるわけではないだろう。「高校から海外クラブ」という進路がプラスかマイナスかというのもまだ何とも言えない部分があるのだ。

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