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20歳前後の育成に苦しむ日本サッカーの実情。サッカー日本代表ベスト8への壁【カタールW杯】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by AFC

育成年代が強化の機会を失った実情



 危機感の強まっている日本代表に立ちはだかったのが新型コロナウイルスの蔓延だ。2020~2022年の約3年間、厳しいコロナ規制が敷かれていた島国・日本では海外との行き来が困難になり、育成年代の海外遠征がストップしてしまった。特に割を食ったのがパリ世代。鈴木唯人や荒木遼太郎ら2001~2002年生まれが出場するはずだった2021年のU-20W杯が中止になり、強豪と公式戦で真っ向勝負するチャンスがなくなってしまったのである。

 パリ世代の下の2学年に当たる2003・2004年生まれの世代はもっと大変だ。休校や部活動停止、高校総体中止などが続き、海外へ行くどころか、対外試合の機会さえも激減してしまったからだ。

 それに該当するのが、今年高卒プロ1年目だった松木玖生、北野颯太、甲田英将、中村次郎、坂本一彩ら。ユース年代で外国人選手とガチガチとぶつかり合ってこなかった彼らの国際経験不足は明らかだと言わざるを得ない。

 それを象徴したのが、今年5~6月にかけてフランスで行われたモーリス・レベロ・トーナメント。U-19日本代表はU-21アルジェリア代表に辛くも勝利したものの、U-21コモロ代表・U-19コロンビア代表に苦戦。5・6位決定戦でもU-20アルゼンチンに敗れ、世界の壁に跳ね返されたのだ。

 同大会に参戦した19歳の横山歩夢にしても、得意のドリブル突破を試みても屈強な外国人DFを抜き切れず、ボールを奪われるシーンが続出。「もっと個の打開力を身に着けないといけない」と本人は神妙な面持ちで語っていた。

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