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オランダ代表が直面した「ポジショナルプレーの壁」。アルゼンチン代表との差は?【カタールW杯】

シリーズ:分析コラム text by 西部謙司 photo by Getty Images

FIFAワールドカップカタール2022 最新ニュース

FIFAワールドカップカタール2022準々決勝、アルゼンチン代表対オランダ代表が現地時間9日に行われ、2-2の同点で迎えたPK戦を制したアルゼンチン代表が準決勝進出を決めている。敗退となったオランダ代表は試合終盤のパワープレーで何とか追いついたが、両者の間には差があった。(文:西部謙司)


ポジショナルプレーの弊害


【写真:Getty Images】

 この日の準々決勝2試合はどちらもPK戦になったが、試合内容は大きく異なるものだった。白熱したクロアチア代表対ブラジル代表に比べると、オランダ代表対アルゼンチン代表は内容に乏しいというか、現代サッカーの行き詰まりを象徴するようなゲームになっていた。

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 前半、ボールを保持しているのはオランダ代表だった。しかし、保持しているだけでほとんどチャンスを作れていない。後半も放り込みはじめた終盤を除くと流れはほぼ同じだった。パスワークは確かにきれいだが、ただそれだけで何も起こせないのは変わらない。

 いわゆるポジショナルプレーである。ポジショナルプレーとは、簡単にいえばカーナビゲーションと似ていて、ポジショニングが自動化されたシステムだ。誰がどこにいるのかは見なくてもほぼわかるので判断の助けになる。道を知らなくても目的地にたどり着ける誘導システムに似ている。ただ、それ以上のものでないことがオランダ代表を見ているとよくわかる。

 自動的、マニュアル的に判断ができるのはメリットであるはずなのだが、そこに安住してしまえば、もともと持っていたはずのスキルと判断が失われていく弊害もみえていた。判断を助けるシステムにどっぷり浸かりすぎてしまうと、考えなくなってしまうのかもしれない。

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