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オランダ代表が直面した「ポジショナルプレーの壁」。アルゼンチン代表との差は?【カタールW杯】

シリーズ:分析コラム text by 西部謙司 photo by Getty Images

オランダ代表が直面した壁



 余談だが、日本代表の次のステップは「ポゼッションサッカー」という話がちらほら出てきている。しかし、保持することを目的にするなら明らかに間違いだ。それはこの日のオランダ代表を見ればよくわかるはずである。保持の先にアイデアと武器がなければ、ただ保持するだけになるのはスペイン代表も同じで、日本代表はそれを間近で見ていたはずだ。

 ポゼッションサッカーの巨頭であったスペイン代表とオランダ代表が、揃って「ポジショナルプレーの壁」に突き当たっているのは意外ではある。

 2008年に始まるスペイン代表とバルセロナの躍進で、いくつかのチームがバルサ化(スペイン化)を試みた。しかし、まもなく軒並みやめてしまった。「ウチにはメッシがいない」というのが主な理由だった。保持した後のアイデアがないままに模倣したので壁に突き当たったわけだ。

 ルイ・ファン・ハール監督の率いるオランダ代表は毎回同じところで立ち止まる。ただし、過去のチームは少なくとも2つの回答を持っていた。サイドからの突破と高速カウンターなのだが、今回はそれすらなく、守備ブロックの外をボールが回るだけで、保持したまま立ち往生していた。

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