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三笘薫はなぜ活躍できる? 今や主役、デ・ゼルビ監督の下で飛躍した2人の前例【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

圧巻だったゴールと守備での貢献



 4-2-3-1の左サイドハーフで先発した三笘は10分に訪れた決定機を逃してしまったが、その4分後に汚名返上。モイセス・カイセドからの鋭いパスを受けると、ファーストタッチでボックス内に侵入し、もう一度切り込んでからシュートを放ってゴールネットを揺らしたのである。

 カイセドのパスをカットしようと飛び出た右SBネーサン・パターソンの判断が悪かったのも事実だが、何より凄いのは三笘のファーストタッチだ。一発で、それもスピードに乗った状態でボックス内に侵入できれば、DFにはそう簡単に止められない。あのコントロールが出来た時点で、勝負は決まったと言える。

 2戦連発でチームに貴重な先制ゴールをもたらした三笘は、その後もエバートンDF陣の脅威となった。20分には意外性のある右足アウトサイドのクロスでファーガソンのフィニッシュを演出すると、26分には十八番とも言える緩急を使ったドリブルでパターソンを置き去りにしてボックス内深くに入り込み、チャンスを作り出した。

 そんな三笘の輝きは攻撃面だけに留まらない。守備面でも、同選手の働きは光っていた。

 最大のハイライトになるのは56分、グロスの4点目のシーンだろう。

 エバートンの左からのフリーキックがファーサイドに流れると、ペルビス・エストゥピニャンがスプリントし、足を伸ばしてボールを残す。そのこぼれ球がイドリッサ・ゲイェの元に渡ると、三笘が全速力でプレッシャー。これを受けたゲイェはバックパスを誤り、そのまま拾ったグロスがゴールへと繋げている。

 懸命にボールを残したエストゥピニャンも素晴らしかったが、セカンドボールにしっかりと反応した三笘の意識と集中力も称賛されるべきだ。同選手の追い込みがなければ、ゲイェは間違いなく余裕を持ってボールを保持していた。細かいポイントではあるが、これが出来るか出来ないかの差は大きいだろう。

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