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若手が海外移籍するリスクとは? シントトロイデン立石敬之CEOが「だからこそJリーグを勧めたい」と言う理由【2/4】

シリーズ:シントトロイデン立石敬之CEOに訊く text by 元川悦子 photo by Getty Images

「冨安健洋はケガを抱えていたし、遠藤航も困難に直面した」



 立石CEOが手元に置いている選手の1人に林大地がいる。彼は大阪体育大学を出て2020年にサガン鳥栖入りし、わずか1年半でシントトロイデンへ赴いた。大卒ということで高卒の選手より社会性や知識・教養も身に着けたうえでプロになった彼でさえも、移籍当初の半年間は難しかったという。それだけ異国でのチャレンジのハードルは高いのだ。

「今までウチに来た選手の大半が最初の6カ月は本来のパフォーマンスを出せずに苦しみますね。冨安はケガを抱えていたし、遠藤航も困難に直面した。唯一、最初からある程度フィットしたのが、シュミット(・ダニエル)ですね。

 彼は当時27歳で人間的にも成熟していましたし、英語も堪能でコミュニケーションに困らなかった。GKというポジション柄、最初は『日本人がどれだけできるか』と疑問視されたところもありましたけど、ビッグセーブやチームを勝たせるプレーを見せて、周囲を認めさせてきたんです。そうやって自分で道を切り拓けないと難しい。だから、僕がスカウトするに当たっては、極力Jリーグで一定の場数を踏んだ選手を取りたいなと思います」

 立石CEOはそう語るが、中村敬斗は例外的な獲得例と言えるかもしれない。高校2年から3年になる2018年2月にガンバ大阪入りした彼は、18歳でオランダ1部・トゥエンテ入り。翌2020年夏にシントトロイデンに加入した。が、試合に出られないと見るや、2021年2月にオーストラリア2部・ジュニアーズへレンタル移籍し、同年8月に現在のLASKリンツにステップアップしたのである。

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