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ブライトン出身記者が見た三笘薫の輝き。日本人ドリブラーが持つ可能性とは?【英国人の視点】

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

三笘薫はどれほどの高みに到達するのか



 三笘はリーグ戦4試合目で初めてゴールを決めた。旗手怜央の代役として出場した20分後、湘南ベルマーレの石原広教のミスを見逃さず、エリア内に運んでシュートを決めたのだ。その後は毎試合のようにゴールを決め、21年8月にブライトンに移籍するまでに川崎で公式戦62試合に出場して30ゴールを記録した。

 ベルギーにレンタル移籍した当初こそ目立った活躍はなかったが、新興クラブであるロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズがレギュラーシーズンのランキングでトップに立ち、三笘自身は29試合で8ゴールを挙げた。活躍する準備ができたことをブライトンに納得させるのに十分な数字で、堅実な復帰だった。

 南海岸に到着してから見せる三笘の輝きのおかげで、ファンは攻撃の核だったレアンドロ・トロサールのアーセナル移籍すら特に気にならないように見える。

 今、重要なのは、三笘が周囲の過大評価に踊らされないことである。フロンターレ1年目のシーズンに向けて行ったアンケートで、試合中に最も気をつけていることについて三笘は「冷静さを保つこと」を挙げ、「継続は力なり」をモットーに掲げていた。初任給で両親と食事に行った男が集中力を欠くことはなさそうである。

 彼は確かに、雑念を無視し、重要なことだけに集中できる冷静さがある。まるで、相手のサイドバックに向かって全力でドリブルしている時のように。そして、もし彼が今のレベルのパフォーマンスを長期にわたって維持できれば、これまでのどの日本人選手より高いレベルに到達する可能性を持っている。

 そのためには(少なくとも筆者にとっては)悲しいかな、最終的にはブライトンよりも資金力があり、格式高いクラブへの移籍が必要となるだろうが、今はブライトンの躍進と三笘の成長を見られること自体が素晴らしいことだ。これからも、そうでありますように。

(文:ショーン・キャロル)

【了】

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