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まさにナーゲルスマン監督の思惑通り。なぜPSGはバイエルンに敗れたのか【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

消極的な前半も結果的には成功



 この試合の前半は、ビッグマッチとは思えないほど退屈だった。

 その理由はPSGが消極的な戦い方を選択したからである。ボールを保持するバイエルンに対し、PSGは高い位置からプレッシャーをかけずに4-4-2のブロックを組んで自陣へと引き込み、カウンターのチャンスを狙っていた。

 PSGは大外を捨てた4-4-2のコンパクトな守備ブロックを形成。実際、バイエルンには何度もサイドに展開され、そこからのアタックを受けたが、とにかく中央を守るやり方を徹底していた。この守備自体が機能していなかったわけではなく、前半だけでバイエルンに10本ものシュートを浴びたが、崩されたものはほとんどなかった。

 一方でPSGの前半のシュート数はわずか1本。カウンターを狙っていたという聞こえは良いが、ほとんどが早い段階で潰されている。そのため、バイエルンが攻撃を繰り返し、PSGが跳ね返し続けるという、あまり見応えのない時間が続いてしまった。

 ただ、PSGからすると、攻め込まれながらも前半を無失点で乗り切ったのは結果的に大成功だったと言える。クリストフ・ガルティエ監督からすると、後半にエムバペを入れて一気に勝負をつける、というプランを実現しやすくなったからだ。「残念ながらキリアンの出番を控えていた矢先に失点してしまった」という指揮官の言葉からも、そうした展開はある程度想定していたと考える。

 しかし、当然ながらユリアン・ナーゲルスマン監督もただ黙って試合を見つめていたわけではない。後半、さっそく動いてきた。

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