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【三笘薫の解体新書/前編】ドリブルを止める方法は?「簡単です。でも無理なんです」身体動作のスペシャリストが解剖

text by 石沢鉄平 photo by Getty Images

中田英寿にも共通する「勝ちライン」


【写真:Getty Images】



「切り返している写真1を見てもわかるように、みぞおちとへその距離は離れています。また、上半身の姿勢が保持されていることで、股関節中心の爆発的かつ伸びやかな動きが生まれ、『高速での切り返し』を可能たらしめています。普通、スピードに乗った状態で切り返そうとすると、みぞおちとへその距離が近くなり、いわゆる『猫背』になりやすくなります。猫背であの速さで切り返すのは至難の業です。中田英寿さんもみぞおちとへその距離が長かったように、この『勝ちライン』の差こそ、超一流と一流を隔てる差だといっていいと思います」

 では、三笘のもうひとつの現象である「速さ」を生む本質とは何か。急加速している写真2も相手DFのプレッシャーがありながら、「勝ちライン」を保っていることがわかる。そして、さらに注目すべきところは写真1と同様に、三笘の両肩の位置が何ら変わっていないこと、と里は言う。

「DFを置き去りにする急加速時は、力みで先程言った猫背になってしまったり、肩が前や後ろ、上になってしまうことが多い。姿勢を変化させるとき、肩の位置が変わらないことは非常に重要なポイントです。また、急加速時の前傾姿勢も前傾するために身体を倒しているのではなく、上半身の正しい姿勢が正しい腕振りや脚のスウィング動作を可能として、結果として前傾姿勢が生まれ、三笘選手の『急加速』を生んでいるのです」

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