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【三笘薫の解体新書/前編】ドリブルを止める方法は?「簡単です。でも無理なんです」身体動作のスペシャリストが解剖

text by 石沢鉄平 photo by Getty Images

三笘薫のパフォーマンスを下げるには…



 実践すれば即座にわかるように、肩の位置を動かさないで『勝ちライン』を保つのは難しい。では、そんな超一流の三笘のパフォーマンスを下げるにはどうすればいいのか? といった嫌らしい質問に対する里の答えは想像どおりであった。

「簡単です。三笘選手を猫背にさせることです。猫背にさせれば初速の段階から大きな歩幅と高い回転数が生まれてこないですから。でも、無理なんですけどね(笑)」

 とはいえ、三笘の惚れ惚れする上半身の姿勢に対し、「姿勢は才能ではない」と里はきっぱりと言い切る。「トレーニングを徹底すれば誰でも姿勢は良くなります。重要なのはその先で、あらゆるシーンで理に適った姿勢を保つことを意識づけられるか。だからこそ、どの写真を見ても『勝ちライン』を有する三笘選手は超一流なんです」

「本質」を知ると必然的に「現象」が見えるようになる。後編は三笘の「フィジカルの強さ」の本質とともに、里が考える3つのドリブラータイプに三笘をカテゴライズする。

【三笘薫の解体新書/後編】エムバペと同じカテゴリー。「完成形に近い」姿勢の本質とは?

プロフィール

里大輔(さと・だいすけ)
1985年9月12日生まれ、長崎県出身。スピードコーチ・パフォーマンスアーキテクト。株式会社SATO SPEED代表取締役。陸上の短距離(100メートル)選手時代はジュニアオリンピック、全日本中学生大会などで優勝。大学・実業団陸上競技部の監督を経て日本ラグビー協会のスピードコーチとしてさまざまな代表カテゴリーを指導しながら、サッカー、陸上、野球、バレーボール、バスケットボールなど、さまざまな競技、年齢、国籍のチーム・選手を指導。2019年に日本ラグビー協会コーチングアワード日本代表カテゴリー賞を受賞し、20年にはフランスラグビー協会から招待を受けた。23年は日本ラグビー協会、NECグリーンロケッツ東葛(ラグビー)、明治大学(ラグビー)、NECレッドロケッツ(バレーボール)、サンフレッチェ広島ユース(サッカー)でパフォーマンスやスピードの指導を行う。著書に『RUN FAST! 「走り方」の本質』(東洋館出版社)。

書籍情報

『身体動作解体新書 現象を本質的に分解してパフォーマンスを上げる』

定価:本体1800円+税
どうすれば速く走れるのか、どうすれば高く跳べるのか、どうすれば強く蹴れるのか――。「本質」を知ると、「現象」が見えるようになり、「評価」できるようになり、「できる」ようになる。ラグビーをはじめさまざまな競技のチーム・選手のパフォーマンスを飛躍的に向上させたパフォーマンスアーキテクト・里大輔による本質的「身体動作のガイドライン」。

【了】

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