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チェルシー、855億円を使っても足りないものとは?レアルに完敗の理由【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

855億円使っても足りない選手


【写真:Getty Images】



 マドリー戦でワントップを務めたハフェルツも本来は2列目の選手だ。実際にこの試合でも2列目に降りて右サイドで数的優位の状況を作っていた。

 となれば、ゴール前に入るストライカーは不在となる。ベンチスタートとなったジョアン・フェリックスやラヒーム・スターリングもストライカータイプの選手ではない。アルマンド・ブロヤは怪我によって不在、ピエール=エメリク・オーバメヤンとダビド・ダトロ・フォファナはCLの登録メンバーから外れており、この試合には1人のストライカーもメンバーにいなかった。

 そしてククレジャがゴールを決めきることのできなかったシーンをはじめ、1stレグで退場したベン・チルウェルの不在の影響も大きく感じられた。

 このイングランド代表DFは逆サイドからのクロスに合わせるプレーが上手く、自らのクロス精度も高い。この試合でチェルシーは8つのCKを獲得したが、ジョアン・フェリックスがピッチに入るまではほぼ全てのクロスをニアで跳ね返されており、全く得点の匂いがしなかった。

 また不在者の影響は守備陣にも感じられた。1stレグでチルウェルが退場、そしてカリドゥ・クリバリが負傷したことで、DFの選手層が手薄となった。結果として2ndレグでは、ククレジャを左WB、経験不足のチャロバーを左CBで起用している。

 チャロバーは58分の失点した場面で、ロドリゴに対して一か八かの対応を挑み、これを失敗。逆転が難しくなる3失点目に関与してしまった。結果論ではあるが、CLの登録メンバーからブノワ・バディアシルを外した影響が出たと言えるだろう。

 チェルシーは今季だけで6億1100万ユーロ(約855億円)もの移籍金を市場に投じて選手を集めている。クラブ公式サイトによると、トップチームに31人もの選手がいるが、それでも選手不在の影響を強く感じてしまうというのはいかがなものか。サッカー界に初参入のオーナー陣が、すぐに優れたGMらを連れてこなかった影響が大きく響いている。

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