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Jリーグ 10か月前

「半歩進んだ」湘南ベルマーレがどん底から見た光。勝てない原因と悪いなりの戦い方とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

一瞬の判断からゴールを演出した小野瀬康介



「間で受ける選手が少なかったのと、みんな(前線に)張り付いちゃっていた。シュートを打てたんですけど、外が空いているのが間接視野で見えたので、判断を変えました」

 最終ラインから舘幸希が縦パスを送り、石井久継が素早く反転して大橋につなぐ。大橋から横パスを受けた杉岡大暉は、ゴール前の状況を伺いつつ中央の小野瀬へつないだ。

 相手の寄せが遅れたこともあり、少し距離はあるものの小野瀬であれば直接狙える距離でもあった。しかし、右サイドを駆け上がる阿部浩之を視界にとらえた小野瀬は、浮き球のパスを選択した。途中出場で左サイドバックに入っていた片山瑛一は畑大雅をマークしていたが、その背後に出たパスに対応できず。阿部が頭で折り返したボールに大野が飛び込み、GK松本健太の前でゴールに押し込んだ。

 間接視野で状況を捉え、一瞬で判断を変えた小野瀬。湘南は先週末までの8日間で3試合を戦ったが、小野瀬は3試合すべてにフル出場している。怪我で離脱していた時期もあるが、今季のリーグ戦で先発した14試合のうち11試合がフル出場。運動量が求められるポジションにもかかわらず、山口監督は小野瀬を使い続けているのには理由がある。

「週明けはキツくて疲れが残っているなと感じたんですけど、うまくコントロールして出た」と4月に30歳となった小野瀬は話す。試合後には誰よりも長くケアをして、最後の方にバスに乗り込むのが日常となった。満身創痍の中でも違いを生み続けている。

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