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「アルテタはヴェンゲルに近過ぎる」“監督”アルテタのルーツを探る。「指導者としての資質は、当時から感じさせていたよ」

シリーズ:フットボール批評オンライン text by 結城康平 photo by Getty Images

ミケル・アルテタはチームに熱狂をもたらす選手

レンジャーズ時代のミケル・アルテタ
【写真:Getty Images】



「ビッグネームが揃ったエゴイストだらけの戦場のようなドレッシングルームで、アルテタは怯むことなく多くの選手から学び、彼らの意見を聞き、仕草を観察していた。特にデ・ブール兄弟やバリー・ファーガソンから多くのことを学んでいたようだ。我々コーチングスタッフが何かを求めたとき、アルテタがそれに対応出来なかったことはない。彼は正確に我々のメッセージを聞き、チームに熱狂をもたらす選手だった」

 興味深いことに、アルテタが徹底的に学ぼうとしていたフランク・デ・ブール、ロナルド・デ・ブール、バリー・ファーガソンのうち、2人が指揮官としてのキャリアを選択している。フランク・デ・ブールは6年間アヤックスの指揮官を務め、2016年にはイタリアのインテル・ミラノへ。クリスタル・パレスでプレミアリーグにも挑戦するが、結果は伴わずに解任。現在はMLSのアトランタ・ユナイテッドFCで指揮官を任されている。

 バリー・ファーガソンはブラックプール時代に選手兼監督として暫定的に指導の世界に足を踏み入れ、今は母国スコットランドに戻っている。セミプロレベルではあるが、2014/15から16/17シーズンはクライドFCを指揮。2018年にはスコットランドリーグ5部相当に所属するケルティハーツの指揮官に就任し、見事に優勝を成し遂げている。45歳の青年監督は着実に下積みとして下部リーグで結果を残し、ステップアップの機会を探っている。

 6シーズンを過ごしたエヴァートンFCは、アルテタのキャリアでも在籍期間の長いクラブだ。デイヴィッド・モイーズがコツコツと積み上げるように構築したチームの心臓として、アルテタは中盤の軸を任されることになる。彼はインタビューで、モイーズについて下記のように述べている。

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