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「アルテタはヴェンゲルに近過ぎる」“監督”アルテタのルーツを探る。「指導者としての資質は、当時から感じさせていたよ」

シリーズ:フットボール批評オンライン text by 結城康平 photo by Getty Images

フットボール批評オンライン特集記事

 スペイン・バスク地方出身のミケル・アルテタは、個性豊かな指揮官たちの下でプレーし、多士済々の欧州サッカーで輝かしい実績を残した。現在アーセナルを率いるアルテタの指導者としてのルーツはどこにあるのか。アーセナルの監督に就任するまでのキャリアを振り返る。※2020年9月7日発売の『フットボール批評issue29』を一部抜粋して再編集した。(文:結城康平)


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ピッチ内の「将軍」

シャビ・アロンソとミケル・アルテタ
【写真:Getty Images】

 静かなる天才は、世界屈指の美食の街と名高いバスク地方のサン・セバスチャンで産声を上げる。文化の混ざり合うバスク地方は多くの優秀なフットボール選手を輩出しており、ミケル・アルテタもその1人だ。

 地元のクラブであるアンティゴコに加入すると、世界屈指のフットボーラーに成長するシャビ・アロンソと出会う。小さなクラブで出会った2人の少年は、その知性をピッチの上で発揮。欧州屈指のMFとして知られるようになる2人が浜辺で日が暮れるまでボールを蹴り合っていた事実は、まるで映画の脚本のようだ。

 共に世界を制することを夢見た少年たちだったが、その才能が彼らを引き裂くことになる。FCバルセロナからのオファーを受けたアルテタは国内屈指の強豪に移籍し、シャビ・アロンソは幼少時から夢見たレアル・ソシエダに加入。その後のキャリアはあえて語るまでもないが、2人は欧州屈指のリーグを渡り歩いた。

 アロンソが指導者の道を歩み始めていることも運命の悪戯だが、アルテタは指導者として彼の一歩先を進んでいる。選手としてはレアル・マドリーやバイエルン・ミュンヘンで活躍したアロンソが上かもしれないが、指導者としてのポテンシャルは拮抗。2人は歴戦の猛者である多くの名将のチームを経験する中で、ピッチ内の『将軍』としてフットボールを学んできた。

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