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リバプールで見せた遠藤航だからこそできるプレー。他のMFが持っていない能力とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

遠藤航にしかできないプレー


【写真:Getty Images】



 アンカーに入ったマック・アリスターは状況判断に長け、どのポジションでも高いクオリティを見せられる選手だが、やはり6番でプレーする選手ではない。49分にはアントワーヌ・セメンヨに寄せるもボールを奪えず、イブラヒマ・コナテと挟みながらもシュートを許した。思わず「ファビーニョだったら」と感じてしまうシーンであり、途中から入った遠藤は出足の鋭いインターセプトでピンチの芽を何度も摘んでいた。

 もう1つのタスクはカバーリング。構造上、リバプールのMFは最終ラインに入るシーンが必ず出てくる。ビルドアップ時に右サイドバックのアレクサンダー=アーノルドがアンカー脇(ボランチ)の位置に立つため、カウンターを受けた際はコナテの脇をソボスライがカバーするシーンがあり、左サイドバックのアンドリュー・ロバートソンがサイドにつり出された際は、ファン・ダイクがゴール前に留まれるように、マック・アリスターがその間のスペースを埋めた。

 こういった局面におけるカバーリングやポジショニングは、やはり前任者のファビーニョが長けていた。ASモナコ時代にサイドバックを経験しているのも大きいだろう。湘南時代に3バックの中央や右、デビューしたころの日本代表で右サイドバックをやっていた遠藤も、リバプールでこのタスクをそつなくこなしていた。

 ファビーニョがチームを去った今、奪い切る中盤の守備と最終ラインのカバーリングは、他のMFにはない遠藤の特徴と言えるだろう。周囲との関係性の中で生まれるプレーはこの試合でまだ評価できないが、個人戦術でまかなえるプレーのクオリティは流石のものだった。

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