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日本代表 8か月前

なぜドイツを撃破できた? サッカー日本代表の「3つの驚き」。W杯との違いと成長【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

ワールドカップのときとは違った5バック変更の理由

 2つめの驚きは、その機能していた守備を後半から変更したこと。

 5-4-1の低いブロックに変化した。カタールW杯でも後半から5バックに変更したが、そのときは押し込まれて振り回されていた前半からの修正だった。可変による混乱をマッチアップの明確化で解消した力業だったのだが、今回は前半が非常に上手くいっていたので変更しなければならなかった理由は見当たらない。唯一、サイドチェンジされたときにサネを抑えきれなかったところに不安はあったが、おそらくテストの意味合いが強いのではないか。

 守備の重心が下がったことでドイツ代表にボールを支配され、押し込まれる流れになった。しかし、日本代表のローブロックは固く、スペースを消されて打ち手のないドイツから終盤にカウンターから2点を追加している。1点差で守りに入ったのは驚きではあったが、逃げ切り策のテストも良い結果を得られたと思う。

 日本代表の先制点は11分、菅原由勢の低いクロスボールをニアでアントニオ・リュディガーの前に入った伊東純也がコースを変えてニアサイドを抜く。

 ドイツ代表はハイプレスを仕掛けてくるが、遠藤と守田を中心に冷静にショートパスを回してプレスを外し、伊東や三笘薫のカウンターへつなげていく。このパスワークの技術の高さも見事だった。伊東、三笘の威力は相変わらずで、相手にとっては最大の脅威であり続けた。

 19分にサネのゴールで1-1となったが、22分にすぐさま突き放す。冨安の左から右へのパスを伊東が収めて、追い越した鎌田大地へ。さらい鎌田を追い越した菅原へつなぎ、菅原のロークロスを伊東がワンタッチでコースを変えたところに上田綺世。左足でゴール右隅へ転がしてゲットした。

 日本代表のコンパクトなミドルゾーンの守備ブロックに侵入できないドイツ代表は、サイドチェンジからサネがドリブルで仕掛けて際どいクロスを入れるが日本代表の守備陣が阻止。逆に41分にはリュディガーからボールを奪った上田が独走、GKと1対1となったがマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンが防ぐ。

 45分、サネがカウンターアタックから脱け出すが、追走した冨安がシュートをブロック。この日の冨安の攻守に渡るスーパーな活躍は素晴らしかった。

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