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Jリーグ 7か月前

「父の推しが日の丸を背負う日まで」“推し”の移籍。ヴァンフォーレ甲府サポーターの葛藤と本音

text by 須羽リセル photo by Getty Images

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フットボールチャンネルはnoteとの共同企画「#Jリーグを語ろう」を開催した。Jリーグにまつわる様々な素敵な投稿が集まった中から、ヴァンフォーレ甲府サポーターの父とのエピソードを綴った須羽リセルさんの投稿「父の推しが日の丸を背負う日まで」を紹介する。(文:須羽リセル)※本文の内容は8月11日時点のもの


須貝英大を推し始めた瞬間

ヴァンフォーレ甲府時代の須貝英大1
【写真:Getty Images】

「ユニフォームぶん投げてぇわ」

 父はそう吐き捨てた。

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 ヴァンフォーレ甲府の経営危機問題の前から甲府を応援している父は、サッカーに関して熱くなることはあまりない。すべてのJ1昇格・J2降格を経験しているからか、シーズン中に連勝しても連敗しても、高揚することもなければ落ち込むこともない。2016年まで父はユニフォームに背番号を入れなかったし、2017年以降に選手の背番号を入れるようになっても「なんとなく」という理由だった。

 しかし2021年の新体制発表会見で、大卒ルーキーとして加入したある選手を見て、父の目の色が変わる。

 新加入選手が背番号順に話すため、背番号2を背負う彼は各質問に対する答えが毎回トップバッターになってしまっていた。

 それでもハキハキとした口調で淀みなく話す彼を見て、父は笑顔でこう言った。

「俺、今年のユニフォーム須貝にするわ!」

 父が須貝英大選手を推し始めた瞬間だった。

 ただ2021シーズン終了までは「須貝が移籍するまで新しいユニフォームは買わん」と言い切っていた。

 その後須貝選手が契約更新を発表したため、私は父の判断を待った。その結果、父は2022シーズンの須貝選手の新しいユニフォームをあっさり購入。今年も須貝選手のユニフォームとタオルマフラーを新調し、父の手元にはそれぞれ3枚のユニフォームと名前入りタオルマフラーがある。ACLユニフォームも迷わず須貝選手のものを注文した。

 そんな矢先の7月下旬、須貝選手がJ1の鹿島アントラーズへ移籍することが決まった。

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