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日本代表 7か月前

マンUを断った鈴木彩艶の夢。サッカー日本代表で感じた悔しさと反省「まだ劣っている」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by NN

「A代表の戦力にふさわしい」21歳GK選出の経緯

シントトロイデンでプレーするサッカー日本代表GK鈴木彩艶
【写真:Getty Images】


 もっとも彩艶は2021年夏の東京五輪に飛び級で、日本の五輪史上で最年少となる18歳で抜擢されていた。主戦場としてきた、来夏のパリ五輪出場を目指すU-22代表は同時期にアメリカ遠征を行い、アリゾナ州フェニックスでU-22メキシコ、U-22アメリカ両代表との国際親善試合に臨んでいる。

 パリ五輪のアジア最終予選を兼ねて、来年4月にカタールで開催されるAFC・U-23アジアカップへ向けて、U-22代表チームの完成度を高めていく時期にあえてA代表に彩艶が抜擢された。

「彩艶はシントトロイデンへ移籍した直後から試合に出場し続け、高いパフォーマンスを見せている。A代表の戦力にふさわしいと考えて選んだ。U-22代表の大岩監督とはメンバーについてリストを共有して、活動のなかでどのように選手を動かしていくのかについてコミュニケーションを取っている」

 森保監督が彩艶を招集した理由に言及すれば、U-22代表を率いる大岩剛監督は「彩艶を送り出した、というわけではありません」と苦笑しながら、今回の人選に至った理由を補足している。

「彩艶はそのまま呼ばれて(A代表に)いくだけです。彩艶だけではなく、ほかの選手がわれわれのグループから呼ばれることは、まったくもって歓迎している。個人個人のレベルアップ、われわれが掲げている『A代表経由パリ五輪行き』という目標を、身を持って表現してほしい」

 森保監督は国内組だけの陣容で臨んだ、昨年7月のEAFF E-1サッカー選手権大会にも、当時浦和で出場機会を得られていなかった彩艶を抜擢し、香港代表との初戦で先発させている。以前から注目していたなかで、彩艶への期待値を増幅させた要因が今夏のベルギーへの移籍となるのは間違いない。

 彩艶の目の前には今夏、3つの選択肢があった。シントトロイデンへの期限付き移籍と浦和残留、そして完全移籍のオファーを出してきたプレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドへの移籍だ。そのなかでシントトロイデンを選んだ彩艶は、以前からこんな夢を公言してきた。

「プレミアリーグで活躍する最初の日本人ゴールキーパーになって、世界一を目指していきたい」

 だからこそ、マンチェスター・ユナイテッドのオファーに断りを入れた決断は驚きを持って受け止められた。憧れの舞台へ、一足飛びに挑めるチャンスをあえて遠ざけた理由を彩艶はこう語っていた。

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